鶴丸女士化騒動顛末2−2
4.山姥切国広 山姥切国広は、正門の前で立っていた。鍛刀師が護衛に借りていった小夜左文字を本丸に送ってくると、連絡が入ったからだ。本当は国広の恋人でもある主も出迎えたがったのだが、提出書類がまだ終わっていなかったので執務室に留まっていた。 これは好機だ、と国広は思った。鍛刀師の鶴丸国永は昼過ぎ、さにわちゃんねる上とはいえ、主の教育に悪い話題に触れていた。鍛刀師に、彼の鶴丸国永の行いについて一言言ってやらねば、と考えたからだ。 正門前で待つこと十分ほどで、門が作動した。扉が開いて、鍛刀師と小夜が現れる。二人は仁王立ちの国広を見て、ちょっと目を丸くした。 「おかえり、小夜」 「……ただいま、国広。どうしたの……?」 「あー……国広どのは、私と話があるらしい。小夜どの、護衛、ありがとう」 「ううん」 ふるふると頭を振って、小夜は「じゃあね」と鍛刀師に手を振った。それから、軽い足取りで母屋へ走っていく。早々に場を立ち去ったのは、国広と鍛刀師の会話の場に自分はいない方がいいと判断したためらしい。懐刀として、人の傍近くに長くいた彼らしい察しの良さだ。 国広は静かに息を吐いて、鍛刀師に向きなおった。と、彼の方が尋ねてくる。 「……うちの国永は、今日はどうしてた? ここで迷惑を掛けていないといいのだけど」 「畑仕事を手伝ってくれた。厨の方も。……感謝している」 「それならよかった」 ふわりと微笑む鍛刀師に、国広は続けて文句を言おうとした。……けれど、口からこぼれたのは心配の言葉だった。 「……あんたの鶴丸国永が」 「え?」 「閨であんたを泣かすのが好きだと……」 「なっ!? 国永……!」ギョッとした顔をした鍛刀師は、けれど、すぐに困ったように笑った。「……さにちゃんにでも、そう書いたのかい? 国永はあれで真面目な部分もある。君や君の主の前で堂々とそういう話をすることはないはずだ」 「よく分かったな。スレに、そう書いていた。……怒らないのか?」 「まぁ、後で文句は言うかな」 そう言いながらもあくまで冷静な鍛刀師に、国広は眉を寄せた。自分を泣かせるのが好きだと言われて、そう落ち着いていられる心境がよく分からない。 「……なんというか、あんた方、大丈夫か? 恋人のことを本当に愛しているなら、相手の流す涙が好きだなんて思わないだろうに。俺は……俺なら、愛する者には笑っていてほしい」 国広の言葉に、鍛刀師は優しい目をして「君は、そうだろうね」と言った。 「君はどこまでも真っ直ぐで……そんな君に愛された、“夕霧”は幸せだ」 「だとしたら……あんたは不幸せなのか? あんたの涙が好きだという相手と恋仲のあんたは」 「いや、幸せだよ」 恐いくらいに幸せだ、と鍛刀師は言葉を紡ぐ。その表情に嘘はなくて、国広はいっそう分からなくなった。 「あんたたちは……いびつだな」 「そうだね」 あっさりと鍛刀師は頷く。でも、いびつでいい――いびつがいいと言う。形の整ったものは怖い、と。整っていれば、整っているだけ、歪むことが不安になる。それくらいなら、もともといびつな形がいいと歌うように続ける。 「……だって、恋愛なんて結局は当事者同士の間のこと。正しい形を判断する第三者なんて、いやしない。私と国永とが納得していれば、それはどんな形だって、どんなにいびつだって構わない」 そう言う鍛刀師を、国広は異世界の生き物のように思った。国広は、そんな風にすべてを振り切ったような思考はできない。……あるいは、顕現されてもっと年数が経てば、彼や彼の近侍のような考え方も理解できるようになるのかもしれないが。 とかく、人間というものは複雑だ、と顕現されて五年ほどしか経たない国広は考える。そうした思考をため息にして吐き出して――「あんたもあんたの鶴丸国永も、本当にうちの主の教育に悪い」と呟いた。 鍛刀師は「ごめん」と悪びれもしない顔で笑っただけだった。 5.鍛刀師(※R-18注意) 国永と二人で官舎に戻るのは、実のところ、少し緊張した。また朝のように、刃鳴りが響いてこないだろうかと心配だったのだ。けれど、私の無銘の打刀は静かなままで、帰宅してほぅと息を吐く。ふと見ると国永も隣で肩の力を抜いていて、私は少しおかしくなった。 「大丈夫、みたいだね」 「今はもうない本丸の皆は、主を加護しているんだ。朝は俺が主に傷を負わせたから、ああなったが……傷つけなければ、皆も文句は言わないさ」 国永は神妙な顔つきで、刀掛けに安置した無銘の刀を見下ろす。許しを求めるように、手で鞘に触れた。 それから、夕飯を済ませて、順に入浴をした。風呂から戻ると、先に入浴を終わらせた国永が寝間着姿で居間のソファに座っていた。その手には古い文庫本がある。タイトルを見ると、二百年以上前のショートショート集だった。短いながら、結末に驚きのあるショートショートをうちの国永は好んで読むことが多い。特に、今、読んでいるのは彼が好きで何度も読み返している本だった。 読書に集中しているようだったので、私は「おやすみ」と挨拶して部屋に入ろうとした。と、国永が顔を上げる。今は美しい少女の面差しが、なぜか緊張していた。 「主」 「ん?」 「その……一緒に眠ってもいいか?」 「え? あー……」 私は少し困ったなと思った。先日、寝室で国永と何をしてしまったかが、記憶によみがえりそうになる。慌ててその記憶を追い払ったものの、彼の申し出を無碍に断るのが気が引けた。 だって、今日は国永をひどく傷つけてしまった。自身の本体を地に投げなければならなかった彼の心境を思うと、今も私まで胸が痛む。先日の間違いは間違いとして――国永が言うなら彼の望みを、できるだけ聞き入れてやりたいと思った。 「……いいよ。一緒に寝ようか」 「いいのか!?」 私の答えに、国永は驚いた顔で立ち上がった。そこまで予想外な反応なのだろうか。……だとしたら、彼の予想どおり断っておいてもよかったのかも、という考えがチラリと頭を掠めた。 が、国永の望みを聞いてやりたいのは本当のことだ。ちょっと逃げ出したい気になりながらも、彼と二人で寝室に入る。ベッドに座ると、先日のことを思い出して落ち着かなくなってきた。 「私が一緒に寝ようって言ったのは、予想外だったか?」 「あぁ、近頃、主は俺を警戒していたからな」そこで国永はウキウキした顔になって続けた。「それにしても、こんなに簡単に安価達成できるとは」 「安価? またさにちゃんか……。そんなことなら、断っておけばよかったかも」 どうして、と国永は頬を膨らませた。美しい少女の顔でそれをやるのだから、かわいらしくて仕方がない。正直、目のやり場に困ってしまって、視線を伏せる。それに気づいて国永は不満げな声を発した。 「主は、女の姿の俺の傍にいるのが、そんなに嫌か?」 「だから、嫌とかいう話じゃなくて……間違いがあったら、困るだろう? 実際、三日前にもあったわけだし」 「あれを間違いとは言わない。俺が望んだことだし、主の手も舌も、気持ちよかった」 「あれは、間違いだ。だって――」私は言いながら、国永を見つめた。可憐な娘の姿に、一瞬、本来の美しい男の姿を幻視する。「だって、国永は女になりたいわけじゃない。女の姿を受け入れていない。そうだろう? そんな相手に、性的に触れるのが間違いじゃなくて、何なんだ」 私の言葉に、国永は「分かっていたか」と困ったような笑みを浮かべた。やんわりした手つきで、寝間着に包まれた自分の胸の膨らみを持ち上げる。 「……本当は、この身体は好きじゃない。目立つし、君の傍にいられない。君を抱くこともできない。――俺は、君を抱くのが好きだ。同じ男なのに、君に抱かれる側ばかりさせるのは不公平かもしれないが」 「公平か不公平かで、国永との閨を考えたことはないよ」 「それなら、いいんだが。どういうわけか、俺にとって君を求めるということは、君を抱くことらしい」 私は国永が私を求めてくれるなら幸せだと感じる。そう打ち明けたら、彼は私に抱きついてきた。君を抱きたいんだが――と苦しげに続ける。 「君を貫いて、いちばん奥まで俺を受け入れてもらって……そうしたいと思うのに、この女の身体は君を受け入れたいといって切なくなるんだ」 いとわしいことだ、と言いながら、国永は私から身を離した。スルリと腰の帯を解いて、寝間着の前をはだける。彼は左手で胸を柔らかく揉みしだきながら、右手を足の間に伸ばした。指先をそこに沈めて、ゆっくりと動かす。「はぁ……」とあえかな吐息をひとつ。 「――この身体になってから、どうも気の巡りがうまくいかない……。君に触れていたいし……触れたくなる。一昨日も昨夜も、ひとりでしたんだ……君がほしいと、身体が馬鹿みたいに熱くなるから」 「っ……」 「あぁ、主、なんでそんな顔をする……? まるで悪いことをしたみたいな顔を……」 国永に言われて、私は表情を取り繕うのをやめて、顔を歪めた。 「……私だって」 「何?」 「……――私も、した。……女の国永の身体に触れたこと、思い出してしまって……」 「ははは。そうか」 国永は眉尻を下げて笑うと、ベッドの上に横になった。そのまま、足を大きく開いてみせる。そうすると、下生えも潤んだ陰部もはっきり見えて、私は頬が熱くなった。思わず身体が逃げ出しそうになる。けれど、国永が懇願するように見てくれと言うものだから、逃げることもできなかった。 熱い吐息をこぼしながら、国永は指先で陰核に触れている。彼が数度、指で擦ると、包皮がめくれてその下の核がのぞいた。そこがいっそう感じるようで、指が触れるたびに細い身体がビクついている。小さな膣孔が収縮して、そこからトロトロと蜜が溢れだしていた。 「主……。主、触れてくれ……この女の身を、心底、いとわしいと思うのでなければ……。今、君がいるのに自分で慰めるのは……虚しい」 肉体と共に変わってしまった国永のアルトの声音が、切なげに訴える。もちろん、彼のことがいとわしいなどあるはずもない私は――言われるままに、彼の陰部に口づけた。やわい粘膜に触れるのが怖くて、舌でそこを愛撫する。包皮からのぞいた部分に舌を擦りつけると、気持ちいいのか彼は身体をガクガク揺らした。トロトロと、膣孔から溢れる液体の量が増したようだ。 国永がもどかしげに「奥も」とねだるので、私は蜜を絡めた指を膣孔に挿入した。熱く湿ったその箇所が、キュッと指を締めてくる。「もっとほしい」と言われて、私はもう一本、おそるおそる指を挿入した。舌での愛撫を続けながら、ゆっくり抜き差しをしてみる。国永は切なげな声を漏らしながら、自分から腰を揺らした。そうしながら、陰部に口づける私の髪を撫でる。少し顔を上げて見ると、彼は空いたもう片方の手で自分の胸を愛撫していた。細い指先が円を描くように、快感にか尖った胸の突起を柔らかく刺激する。 あ、あ、あ……と断続的なアルトが部屋に響く。やがて、彼はキュッと膣孔を収縮させて、達したようだった。その瞬間。ピシャリと液体のようなものが顔にかかって、私はびっくりして身を起こした。液体を少し鼻から吸ってしまって、思わずむせる。 「な……何だ……?」 「――どうした……主?」 絶頂の余韻が少し落ち着いたのか、国永も身を起こした。私の顔にかかった液体を指に取って、二人で首を傾げる。 「……何だろう? 尿とは違うような気が」 「さて……?」 私は指先を舐めてみた。やはり、尿ではないようだ。 と思っていると、国永が私の指を口に含む。やがて、彼は顔を上げて、「あー……これは、潮のようだな」と囁いた。潮というと、官能小説なんかで出てくるアレか。そうか。妙に納得した途端、意識しないようにしていたはずの欲望が、腹の底でカッと熱を帯びた。 目の前の女を――そう、国永ではなく“女”を、抱きたいと本能が絶叫する。けれど、そうするわけにはいかなくて、私は身を強ばらせて拳を握りしめた。この場から逃げ出したいけれど、動こうにも欲求が強くなりすぎて逃げることすらできない。 それなのに、国永は煽るように私の頬を撫でる。自らの陰部に触れていた彼の指先からは、女の匂いがしていた。 「主。俺を抱きたいだろう?」 「っ……。やめろ」返事をするのも苦しくて、掠れた声しかでてこない。 「抱きたいんだろう? 俺は、構わない」 嘘を言うな。欲望でグラグラする頭の中で、私は怒鳴っていた。お前は構うだろう。本当は、女扱いなんかされたくないだろう。 だいたい、お前が構わないと言ったって、私にはできない。だってお前は名刀の付喪神で、その仮初めの姿は本来は男で。そんなお前の性質を、いっときの欲望で踏みにじるわけにはいかない。私は審神者で、お前の主だから――誰よりもその本性を尊重しなくては。 「やめろ……国永……」 「――かわいらしいな、君は」 国永は小さく笑って、私の頬に口づけた。舌先が頬を辿る動きで、自分が涙を流していたと気づかされる。彼は私の寝間着の上から、股間の反応しているものを掴んだ。 布越しに手を動かして、刺激を送ってくる。達するには弱いその快感がもどかしくて、辛くて、生理的な涙が新たに頬を伝った。国永はチュッとそれを啜って、そっと囁く。 「俺だって、いとわしい今の身の“女”を見せたんだ。君だって、本能に忠実になればいい」 「っ……!」 一瞬、目の前が真っ赤になった。私は噛みつくように国永に口づけながら、彼の身体を押し倒す。寝間着の帯を解いて下着をずらすのももどかしく、張りつめた性器の先端を国永の柔らかな太股の間、蜜に潤んだ箇所に触れさせた。 熱い。 その熱さで、我に返る。そのまま潤んだ箇所に自身を沈めてしまいたい。けれど、もはや本能を超えたところで意地のように、私は辛うじて思いとどまった。性器の先端をずらして、けれど、それ以上は堪えきれなくて国永の陰部に擦りすけて腰を振った。 情けないことをしている。興奮して、熱にうかされた頭の片隅で思う。けれど、煽りに煽られた身体では止まることができない。でたらめに腰を揺らして、肌と肌がぶつかり合う音がする。それに、たぶん国永の蜜と私の先走りが混じり合った水音も。 「……君……据え膳、食わぬは……恥だぞ……!」 喘ぐ合間にそう叫ぶ国永は、私を非難している癖に嬉しそうに笑っていて。いびつ、と山姥切の言葉が頭をかすめる。いびつだなんて知っているし、正しくなんてなれないし、なりたくもなし、なるつもりもないし。熱にバラバラになりそうな思考をかき集めてそう思いながら、私は絶頂に震える国永の腹に吐精した。 6.さにわちゃんねるにて (まったりレスが流れている) 715 ななしの審神者さん そういえば、昨日の鶴の安価はどうなったかな? 716 ななしの審神者さん そうだな。鶴、来ないかな。 717 ななしの審神者さん 正直、安価は難しいんじゃね? 主、警戒してるみたいだし。 718 鶴 ところが、成功したんだ。 719 ななしの審神者さん そうそう、主、なにしろ最初は女士鶴にマナーモードだったし。 720 ななしの審神者さん ……って、鶴キタキタ━━━━(゚∀゚)━ ━━━!! 721 ななしの審神者さん 報告wktk 722 ななしの審神者さん 報告はよ 723 ななしの審神者さん 報告ч(゚д゚ч)クレ 724 鶴 報告するぜ。ここが成人指定板でよかった。 主添い寝おkする ベッドでいい雰囲気になっていろいろ(意味深) 後片づけて一緒に二回目風呂入る 添い寝(本物) 安価周辺のもできたぞ! 725 ななしの審神者さん いろいろ(意味深) 726 ななしの審神者さん (意味深) 727 ななしの審神者さん kwsk! 728 ななしの審神者さん 詳細クレ! 729 鶴 分かった。あんまり詳しく書くと主が怒るけど、詳細書く。 主と添い寝準備してるうちに、そういう雰囲気になってエロいことした。主に触ってもらってるうちに潮噴いて、最初は何が起こったのか分からなくて、ふたりで( ゚д゚)ポカーン。主にそうさせたことはあるけど、女の潮噴きも都市伝説じゃないんだな。 その後、素股?みたいなのして風呂入って、寝た。 730 ななしの審神者さん 潮…… ……ふぅ 731 ななしの審神者さん ちょ、主がマナーモードの癖にヤることはやってる件について 732 ななしの審神者さん 女士鶴がエロい…… 733 ななしの審神者さん まって、ちょっとまって >主にそうさせたことはあるけど >主にそうさせたことはあるけど >主にそうさせたことはあるけど 734 ななしの審神者さん やばい。今、腐の先輩と女士鶴を見守るスレが祭りになってる。 735 ななしの審神者さん え? そんなのあるの? 足出すのダメなのに? 736 ななしの審神者さん 本スレで足を出すのはダメ。 だけど、腐も嗜好の一種なので、実は別スレ立ててそこでやるのはおkってことになってる。 叫びたい腐はそこへ行こうぜ! 737 ななしの審神者さん さりげに主が鶴と風呂に入っている件について 主裏山 738 ななしの審神者さん 裏山 739 ななしの審神者さん 裏山 740 鶴 主とは普段もたまに一緒に入るぞ? しかし、女の身体だと二人で入っても風呂が広く感じるな。 くっつこうとしたら、主に「こんな広いのになんで詰めようとするんだ」と抗議されたが。 そんなの、くっつきたいから一緒に入ってるに決まってるだろjk 741 ななしの審神者さん あまーい!!! 742 ななしの審神者さん なんだかんだラブラブじゃね? [[jumpuri:ユイノウカッコカリについて語るスレpart36 > http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=5197911]]のツン>デレ主と鶴の頃から見守ってる自分としては、胸熱。 743 ナンパ師 俺の出る幕ないわー。 小狐が相変わらず口利いてくれないから、絡みに行こうかと思ったのに。 744 ななしの審神者さん 喧嘩長くね? 〉 ナンパ師 そろそろ、ちゃんと話しろよ。 745 ななしの審神者さん 女士鶴と入浴できる主裏山! 746 ななしの審神者さん いや、ちょっと待て。 今は女士鶴かもしれんが、主の泣き顔が好きだという鶴だぞ!? 747 ななしの審神者さん しかも、主に潮を噴かせた鶴だぞ!? 実はいちばん大変なの、主じゃね? 748 鶴 ……こう言っては何だが、可能だと聞くとやってみたくなるものだろう 〉 潮の件 〉ナンパ師 小狐は主に好意的な性格だから、そこまで口を利かないのには理由があるはず。 ちゃんと向き合ってやってくれ。 刀剣男士、特に太刀以上は成人の姿で顕現するが、人の身を得て間もないからな。 ときには感情の処理が上手くいかないこともある。 俺は顕現して、すでに数十年と経つが、今でもそうだ。 749 ななしの審神者さん 鶴のレスの前半と後半の温度差に、風邪を引きそうなんだが。 自分も鶴の意見に同意だな。 ほんと、ちゃんと話しろ 〉 ナンパ師 750 ナンパ師 うー。俺、感情ぶつけ合うとかそういうの、苦手なんだよなぁ。 だから、現世でも恋人作らずに遊んでたんだけど。 でも、刀剣たちは恋人とかそんな結びつきじゃなくて、もう家族みたいなもんなんだよな。 揉めたら別れて終わりとかじゃなくて、向き合わないといけない相手なんだよな。 ……ちょっと話してみるわ。 751 ななしの審神者さん よし、その意気だ!! 752 ななしの審神者さん 行ってらノシ 753 ななしの審神者さん 見直したぞぉぉぉ〉ナンパ師 754 後輩の布 おい 755 ななしの審神者さん あ 756 ななしの審神者さん まんばきた 757 ななしの審神者さん 後輩は? 758 後輩の布 主が今日の報告に来られないから代理で俺が来た。 ……ら、鶴丸国永が閨の話をおおっぴらにしていた件について。 759 ななしの審神者さん まんば、代理で書き込みできるくらい端末触れるんだな。 うちのはムリだわ。 760 鶴 主には内密にしてくれ。 主は成人指定板は見ないから、お前が黙っていてくれたらバレない。 761 後輩の布 昨日のことは、すでに話してある。 762 ななしの審神者さん >760 先輩はどんなスレ見てるの? 763 ななしの審神者さん まんば、先輩に通報ずみかよwwwwww 764 鶴 >762 主の興味の方向性は謎だ。 言語関係と園芸とミステリ・SF系。 あと、なんか妙なの。雑草を育てるスレとか。 履歴がテラカオス。 765 ななしの審神者さん 雑草を育てるスレwwwww 766 ななしの審神者さん テラカオス 767 後輩の布 ……あんたの主、疲れてるんじゃないか? 〉 雑草を育てるスレとか。 768 ななしの審神者さん ファーーーwwwwww まんばにwwww心配されてるwwwww 769 ななしの審神者さん この流れに草wwww しかし、主、昨日の鶴のレス内容知ってて、よく喧嘩にならなかったな。 770 ななしの審神者さん むしろいちゃいちゃだったみたいだしな。 771 後輩の布 別に不思議はない。 鶴丸国永の主――“先輩”は、べつにいいと言っていた。 鶴丸国永と自分の関係がいびつであっても、自分にとっては幸せな関係だと。 うちの主にあんた方みたいにいびつになってほしくはないが、 あんた方が納得しているなら、俺はどうこう言うつもりはない。 ……鶴丸国永とその主は割れ鍋に綴じ蓋というやつなんだろう。 772 ななしの審神者さん 割れ鍋に綴じ蓋wwww 鶴と先輩、まんばにいろいろ諦められとるwwww 773 ななしの審神者さん ま、いいんでね? それが二人の幸せなら。 774 ななしの審神者さん ねぇ、鶴いまどんな気持ちーーー? 775 鶴 主のところへ行く。 落ちる。 776 ななしの審神者さん あー、これはぜったいイチャつきに行きましたわー。 777 悪友 >777ゲト! 様子を見に来てみたら。 先輩も近侍どのも、まぁまぁ幸せそうじゃない。 心配して、損しちゃった。 (以下、レスがゆっくり流れていく) 7.鍛刀師 国永が女の姿になってから五日後。私たちは政府の施設に呼び出された。国永が元に戻る方法を政府で探してくれていたのだが、その結果が出たという。 「――結論から言いますと、鶴丸国永さまの変化を戻す方法はないようです」 政府術者が淡々と告げる。その言葉を、私はどこか遠い出来事のように聞いていた。足元から地面が失われたかのように、ふわふわした感覚。自分の身体がどこにあるのか分からない。 と、傍らの国永が私の手をつかんだ。今は女の細い指先の冷たさ。唐突に、自分の身体の在処を思い出す。 その間にも、国永は冷静さを失わずに術者と話を続けていた。 「方法がない、というのは見つけられない、という意味か?」 「そうです。このようなことは前例がありません。それに、人の子たる審神者が顕現させているとはいえ、あなた方は付喪神。完全には人知の及ばぬ存在です」 「いつか戻る可能性もあるということか?」 「長い間のうちには、あるいは。しかし、それがいつ、何が切欠なのかは分かりません」 「そうか」 私は呆然と国永と術者の会話を聞くばかり。言葉を挟むこともできない。 いつ、どのように術者との面談が終わったのか。気づけば私たちは政府施設の中庭にいて、傍らには後輩と彼の近侍の山姥切がいた。二人は懸命に慰めと謝罪の言葉を口にしている。特に後輩は、自分の関わった実験のせいで国永が変化したことを気にしているのだ。 私は彼の頭を撫で、気にするなと言った。本心からの言葉だった。それでも、後輩の悲しげな顔は晴れない。そんな顔をさせたくはないのに――。 そのとき、国永が私の手をつかんで引き寄せた。細い腕が痛いほどに私の背中を抱く。 「主、俺は大丈夫だ。どんな姿であれ、君の側にいることができるなら、それでいい」 「だけど、国永」 「大丈夫――……大丈夫、だと思わせてくれ。君が愛してくれ、このやわい身体、高い声……すべてを。そうしたら、俺は刀解してくれなんて二度と言わない。まだ戦える。君のために、まだまだ戦えるから」 私はすがるように、彼を抱きしめた。姿が変わってまでも、国永は私の側にいるという。守るという。彼のような人ならざるものにそこまで想ってもらえるほどの価値が私にあるわけはないのに。それでも、国永は共にいてくれようとする。 すまないと謝ると、なぜ謝罪するのかと笑われた。こんなときにも笑顔が作れる彼が不思議で、私は思わず尋ねる。 「……どうして、」 「ん?」 「なんで、国永は怒らない? 泣かない? いちばんつらいのは、お前なのに――」 「そりゃあ、な」 国永は私の頭を引き寄せた。コツリと額がぶつかる。間近で見る淡い金の美しい瞳は、僅かに雫をたたえてひどく優しい光を宿していた。 「……君が俺のために泣いてくれる。俺にはその方がいいんだ」 今は細くて繊細な指が、私の頬をたどる。その感触で、私は自分が泣いていることに気づいた。 8.さにわちゃんねるにて (ゆっくりと、女士鶴やナンパ師のその後を気遣うレスがついている) 938 ななしの審神者さん そろそろ、後輩か鶴かが今日の報告に来るんじゃね? あと、ナンパ師はどうなったんだろうな? 939 ななしの審神者さん 小狐と仲直りできてたらいいんだが。 940 ななしの審神者さん ナンパ師に「小狐と話せ」て言ったとき、鶴さ、何か気付いてる風じゃなかった? 941 ななしの審神者さん え? そうか? 942 ななしの審神者さん 何にだよ? 気のせいじゃね? 943 後輩 最後の報告に来たよ。 944 ななしの審神者さん 後輩キターーーーー!!! ってか最後の報告????? 945 ななしの審神者さん もしかして、鶴、元に戻ったのか!? 946 ななしの審神者さん 長かったな。 鶴もホッとしただろ。 947 ななしの審神者さん まて。とにかく詳細を聞かせてくれ。 948 ななしの審神者さん そうだよ。後輩がレスできるように、皆お口(・×・) 949 ななしの審神者さん (・×・) 950 ななしの審神者さん (・×・) 951 後輩 ありがと。 結論言う。政府の術者の人が言うには、近侍さんが元に戻る方法は分からないんだって。 952 ななしの審神者さん なに!? 953 ななしの審神者さん 嘘だろ!? 954 ななしの審神者さん たぶん鶴が変化したあたりは後輩のフェイク入りなんだろうけど、 ともかく、一度変化したものなら、元に戻りそうなもんじゃね? 955後輩 何かの拍子に戻る可能性はあるらしい。今すぐ人為的に戻す方法はないって。 956 ななしの審神者さん だったら、その機会が来れば……。 957 ななしの審神者さん だけど、機会っていつだよ? 元に戻る偶然がいつ来るかなんて、分からない。 明日かもしれないし、百年後かもしれないんだぞ? 958 ななしの審神者さん そんな 959 後輩 近侍さんは、少し予想してて、覚悟もしてたみたい。 先輩はすごくショックだったらしくて……呆然としてた。 俺が話しかけたら笑顔で答えるんだけど、その顔がどこか泣き出しそうで、俺もつらかった。 そしたら、急に近侍さんが先輩を抱きしめた。 どんな姿になっても主を守るから、大丈夫だって。 先輩はそれを聞いて、「なんでいちばんつらいお前が泣かない」って涙を流した。 そしたら近侍さんは、自分が泣かなくても、主が自分のために泣いてくれるからって。 960 ななしの審神者さん 鶴…… 961 ななしの審神者さん なんで元に戻る方法を見つけられないんだよ!? 〉 政府術者 962 ななしの審神者さん こんな終わり方ってあるか。 963 後輩 これが、最後の報告用の写メ。 (ほっそりした鶴丸が、男審神者を抱きしめている後ろ姿。女性らしい細身の身体つきの鶴丸だが、その背中はどこか頼もしく見える。男審神者は鶴丸に縋りつくようにしながら、彼の肩に顔を押し付けている) 964 ななしの審神者さん 一見、ただのラブラブだけど、後輩の報告を聞くと…… 965 ななしの審神者さん 女士鶴いいなと思ったが……鶴も主もこんなではな。 もう、おにゃのこだと喜んで見てられん。 966 ななしの審神者さん つらい 967 ななしの審神者さん 最後には笑い話になって終わると思ったのに。 968 後輩 こんなつらい報告が最後の報告で、ごめん。 このスレはこれでおしまい。次スレは立てない。 皆、こんなことになってしまったけど、付き合ってくれてありがとう。 皆が話を聞いてくれたから、ここ数日パニックにならずにいられたんだと思う。 ありがとう。 969 ななしの審神者さん 後輩もつらいだろ。 970 ナンパ師 嘘だろ!? 久しぶりにスレに来てみたら、こんなことになってるなんて。 971 ななしの審神者さん ナンパ師か。 972 ななしの審神者さん 釣りスレだったら、どんなによかったことか……。 けど、ナンパ師が女士鶴に会っている以上、釣りではないんだよな。 973 ナンパ師 小狐といちおう仲直りして、鶴に話したくて来たのに。 俺より鶴や鶴の主の方が大変な状況じゃねーか……。 974 ななしの審神者さん 仲直りできたのか。よかったな。 (しばらく、女士鶴を案じるレスが続く) 992 ななしの審神者さん もうすぐ1000だな 993 ななしの審神者さん 鶴が元に戻れるといいんだが。 994 ななしの審神者さん 1000はそれで行くか 995 ななしの審神者さん よし 1000なら鶴が元に戻る 996 ななしの審神者さん 1000なら女士鶴が元に戻る 997 ななしの審神者さん 1000なら女士鶴が元に戻る 998 ナンパ師 998なら女士鶴たちとどこかで会う 999 鶴 皆、心配をかけてすまない。 だが、どういう姿であれ、俺は主の傍にいられればいいんだ。 主が愛してくれるなら、どんな姿であっても、俺は俺だと信じることができる。 だから、皆、そう暗くならないでくれ。 1000 ななしの審神者さん 1000なら鶴が元の姿に戻って、みんな、しあわせになる!!!! 1001 ななしの審神者さん このスレッドは1000を超えました。 次スレを立ててくださいです。。。。。。 |