鶴丸女士化騒動顛末3−2




5.誘拐犯




 さにわちゃんねるのスレを見ていた誘拐犯は、こみ上げる笑みを堪えきれなかった。スレを見るかぎり、誘拐犯が奪った鶴丸国永の主――先輩――“六条の君”やその仲間の“夕霧”、そしてナンパ師の捜索の方向性は、迷走しているようだ。
 第一に、誘拐犯は演練場のゲートを利用していない。刀剣の姿になった鶴丸を持って、自らの術で時空の道を開いた。ゲートのモニター映像からでは、自分へとたどりつけまい。
 第二に、誘拐犯は以前から、鶴丸が女性化した姿を知っていた。というより、鶴丸が女士になったからこそ、今回の誘拐を計画したのだ。女士鶴の姿を知る人物という方向性で絞れば、あるいは自分も捜索の線上に上がるかもしれない。しかし、それでも“六条の君”が自分に手出しすることは不可能だろうと思っている。
 どの道、彼は泣き寝入りするしかない。
 それでも、誘拐犯の心は微塵も痛まなかった。なぜなら、自分が為そうとしていることは、とても崇高な行為だと信じているからだ。
 誘拐犯は文机から立ち上がった。ふすまを開けて、隣の間へ入る。部屋の中央に敷かれた布団の上に、細っそりとした姿が横たわっていた。抵抗を封じるために、呪符で両手両足を封印してあるのが痛々しい。それでも、装束の上からでも分かる、女らしい円みを帯びた身体つき。白い戦装束が、まるで花嫁衣装のように見える。
「鶴丸……」誘拐犯は囁いた。
「拘束しなくとも、抵抗なんざしない」国永は投げやりに言った。「貴様は政府お抱えの術者の家柄。俺が抵抗すれば、うちの主の立場悪くなる。最悪、審神者の資格を剥奪した上で追放。……一度、聞けば承知しているさ」
「それは重畳。鶴丸、君が大人しく私に身を任せてくれればいいんだ」
「しかし、貴様も物好きだな。俺は主と情けを通じた時点で、黄泉と繋がっている。この身体を抱いたところで、何度、精を注いだところで、孕むことはないというのに」
「もちろん承知しているよ」
 誘拐犯は頷いた。本当は、この鶴丸を黄泉の色に染めた“六条の君”を殺してやりたいくらい、憎んでいる。しかし、今はそれを実行している場合ではない。目の前に、絶好の被検体が――女性化した刀剣男士がいるのだから。
 刀剣男士と女審神者の間に子ができるというのは、すでに何例も報告が上がっている。女審神者ほどではないが、男審神者が妊娠するケースも何割かあった。それだけではない。審神者と結ばれた刀剣男士の方が子を宿した事例も、いくらか存在する。しかも、懐妊した刀剣男士の相手というのは、男審神者の場合もあるが、ごく数例、女審神者の事例もあった。
 人間の理解の及ばぬ話ではあるが、どうも刀剣男士と審神者が子を為すのは、男女の性差よりも重要なものがあるらしいのだ。つまり、双方が子どもを望んでいれば、どちらかに子が宿るのである。これは刀剣男士が審神者の霊力と意思によって顕現している、かなり非物質寄りの存在であるためだろう、というのが政府術者の間での見解だった。
 ここに現れたのが、女性化した刀剣男士である。誘拐犯は格好の実験体が現れたことに歓喜した。もし、女性化した刀剣男士との間に子を為せば、どのような子が生まれるのか。出産によって、女性化した刀剣男士はどのように変化するのか。これはつぶさに観察できるチャンスである、と。
 そのために、誘拐犯は労力を惜しまなかった。
「この布団の下には、方陣を描いてあるんだよ。異界の扉を少し開いて、混沌の中から生への活力を引き出すための呪いを織りこんで、ね」
「狂ってやがる……。異界は人間が思い通りにできるようなものじゃない。あれは文字通りの混沌だぞ?」
「だが、私の莫大な霊力を使えば、造作もないことさ」
 誘拐犯は笑って、布団の上に乗り上げた。横たわる国永に覆いかぶさるようにして、戦装束の帯に手をかける。国永は射殺すほどの鋭い目で、誘拐犯を見据えた。けれど、呪符に封じられているせいで、身動きは取れないようだ。悔しげに唇を噛む。
 と、そのとき。
 ドンッ。大きな爆発音と爆風が辺りに広がる。とっさに身を低くしていた誘拐犯は、すぐに起きあがってパチンと指を鳴らした。と、同時に青白い鬼火が周囲に浮かび上がる。鬼火が照らしだしたのは、天井がなくなるほど無惨に破壊された邸の一部だった。この空間の時刻は今は夜。星が場違いなほど静かにまたたいている。
「誰だ」
 誘拐犯は、ゆっくりと風に吹かれて消えていく爆発の粉塵の向こうへ問いかけた。相手は答えない。誘拐犯は、鬼火を操って、自らの前に結界を張った。青い炎の結界だ。人間でも、刀剣男士でも、そうそう突破できるものではない。
 その結界に護られながら、もう一度、問う。
「誰だ」
 そのときだった。粉塵の煙の中から現れたシルエットが、スラリと刀を抜いた。まさか、結界を斬るつもりか。そんな無茶な――。
 そう思う間にも、ごく自然体に刀を構えた相手は、ゆるりと刀を振るった。どの刀派ともつかぬ、美しい剣筋。炎の結界を恐れもしないその刃は、ひと呼吸で結界を斬り裂いた。次の瞬間、結界が切り口から朱金の炎に浸食されていく。あっという間に燃え上がった結界の真ん中を通って、刀を手にした相手は近づいてきた。
「主……」
 誘拐犯の身体の下で、国永が呟いた。
 まだ燃え残る結界の炎を背にして、“六条の君”が微笑む。穏やかに細められた瞳の奥に、業火が燃え盛るのが見えた気がした。直後――“六条の君”は誘拐犯の隣、布団のある一点に刀を突き立てた。目には見えないけれど、そこには国永の四肢を拘束する術の『結び目』を造ってある。“六条の君”は過たずそこを刀で貫いたのだ。
「私の刀を、返していただきます」
「っ……。お前、誰に向かって口を利いている!? 一介の審神者風情、しかも黄泉に染まって政府から目を付けられている問題児が! 私は政府お抱えの術者の家柄だ。私がこのことを政府に報告すれば、お前は審神者としての地位を剥奪されるんだぞ!?」
 初期審神者であれば、すでに実年齢は百歳に至る。現世で百歳を超えてなお二十代の外見の人間が、まともに生きていけるわけはない。お前はこれでおしまいだ。刀剣ひと振さえ手放せば、何の問題もなく審神者を続けられたものを。
 誘拐犯は嘲笑った。
 しかし、“六条の君”は肩を竦めただけだった。
「その鶴丸国永は、私のものだ。私は私のものを返してもらうだけのこと。それを政府に告げ口したいなら、好きにすればいい」
「審神者の資格を剥奪されるんだぞ!?」
「――二一〇〇年代に定義された“審神者”とは、物の心を励起する技を持つ者、そして刀剣男士の主たる存在。物の声を聴き、物の心に心を添わせることができるなら、その人間は誰に認められずとも審神者だ」
 資格の剥奪とやらもご随意に。そう笑う“六条の君”が、誘拐犯には理解できなかった。目の前の男は、政府から審神者として認定されなければ、すべてを失うことになる。それなのに、なぜ資格剥奪の脅しにもびくともしないのか。歴史修正主義者と戦うからには、名誉がほしくないのか。あるいは、報奨が。この男は、いったい何を糧に戦っている――?
 誘拐犯は、初めて“六条の君”を不気味だと感じた。交渉できない。こちらが価値を置くものを、無価値だという相手。怖い、怖い、怖い。このまま“六条の君”を放置すれば、この男は自分の価値観をすべて否定するだろう――。
 誘拐犯はほとんど恐怖で、“六条の君”に掴みかかった。そのときだ。

「投石兵さん、お願いっ!」

 元気のいい声と同時に、四方から縄が投げかけられる。胴を縛りあげられた誘拐犯が見回すと、周囲に刀装の投石兵が展開していた。いずれも、石は手に持ったまま、投石用の縄を使って自分を拘束しているのだった。しかも、小さな相手だからと縄を振りきろうとしても、投石兵の力が存外に強い。あっという間に縛りあげられてしまう。
 ギリギリと引っ張られて、誘拐犯は畳の上に転倒した。
 そこへ、“六条の君”より幾らか若い男審神者が歩いてくる。その男も誘拐犯の記憶にあった。“六条の君”が常から可愛がっている“夕霧”という審神者だ。
「先輩、こいつ、政府に渡す前に殴ってもいいですか!? もちろん、ぐーで!!」
「こら、だめだよ、“夕霧”。これは政府からお墨付きの捕縛だけどね、こちらが暴行を加えたら、傷害罪になるから。こんな阿呆のために、経歴に傷を付けることはないよ。ばかばかしいから」
 不気味なほどの穏やかさで、“六条の君”が諭す。誘拐犯は思わず言った。
「お前、さっき、政府なんかどうでもいいと言っただろう!?」
「いざとなったら、政府に固執する気はない。でも、雇われてる間は、ちゃんと給料を貰うよ、もちろん」
「お前、俺を愚弄する気かっ!?」






6.ナンパ師




 俺は小狐丸と共に、不気味な邸の中を歩いていた。“六条の君”――先輩の鶴丸国永を誘拐した、誘拐犯の邸だ。
 さにわちゃんねるでの報告には、たくさんのフェイクを入れた。誘拐犯がスレを確認している可能性を考えて、鶴丸捜索が迷走しているという印象を植え付けるように書いたのだ。実際には、目覚めた先輩の動きはもっと早かった。さすがに号持ちというべきか、政府の特命を受ける間に作ってきた人脈を最大限に利用したのだ。
 先輩は、最初から誘拐犯は、鶴丸が女性化した全身像を知る人物だと推測していた。ちなみに、女士鶴の姿を知る者はさほど多くない。“夕霧”――つまり後輩や、悪友・“空蝉”、俺こと〈墨海〉、それに政府の施設関係者。他には、女士鶴の姿を元に戻そうと原因を解析している術者くらいのものだという。
 このうち、後輩や悪友、それに俺を先輩は最初から除外した。いくら仲間といっても、信頼しすぎなのではないだろうか。思わず俺が言うと、彼は苦笑していた。仲間だから信頼しているというのもあるが、後輩も悪友もすでに刀剣男士の旦那持ちだからだと言う。
 なら、俺はいいのかと尋ねたら、彼は不思議そうな顔をした。「〈墨海〉どのは、小狐丸から慕われているんだろう?」その状況でうちの鶴丸を誘拐なんかしたら、今頃は血で血を洗う壮絶な修羅場だよ、なんて。小狐のことを言った覚えもないのに、分かってしまったらしい。
 ともかく、先輩はゲートの利用記録から、女士鶴と面識のある人間を絞り込んだ。その人物は――女士鶴が戻る方法はないと告げた術者だったらしい。この結界には先輩も苦い顔をしていた。しかも、その術者はゲートを使って美濃国の演練場に来た記録はあるが、“出ていった”記録はなかった。にもかかわらず、演練場を捜索しても見つからない。
 ここで浮上したのが、術者である誘拐犯が独自の“道”を開いて、移動した可能性である。先輩は号持ち審神者でネットワーク管理者のひとりの“空蝉”――悪友に連絡して、ネットワーク上に強引に“道”が開かれた形跡を探してほしいと依頼した。かくて、悪友が発見したのは、強引に開かれた“道”と勝手に本丸サーバーネットワーク上に築かれたこの邸、それに『異界』を用いた危険な術の痕跡だった。
「これは大漁だな」
 いっそ嬉々として呟く先輩の顔を見て、俺は彼に手出しするのはやめようと改めて誓った。いや、手出ししようにも、うちの小狐が怖くて無理だけど。
 証拠を集めた先輩は、政府の審神者を束ねるトップ――キツネおやじと後輩は呼んでいた――に通信を入れた。自身の鶴丸国永が奪われたことは、あくまで盗難の手続きだけに済ませて、キツネおやじにはまったく別件で話をしていた。いわく、本丸サーバーネットワーク内で異界を用いた禁術が使われる可能性がある。すぐさま阻止せねばならないから、特命で動く許可を出してほしい、と。
 かくて、許可は下りた。それはもう、あっさりと。キツネおやじ――ボスも、先輩の笑顔が怖かったのかもしれない。ちょっとそう疑ってしまうほどの早さだった。
 先輩は後輩と後輩の三日月、山姥切を伴って、誘拐犯の邸に乗り込もうとした。さすがにそんな少人数で、と不安になった俺は、小狐と共に手伝いを申し出たのだった。
 後輩の何だか変わり種の刀装兵が邸の一部を爆破して、そこから俺たちは中に入った。先輩方は誘拐犯の元へ行くという。彼は俺に、奪われて保管されているだろう鶴丸国永の本体を探してほしいと頼んだ。できるだろうか? と不安だったけれど、小狐はさほど難しくもないという。確かにその言葉どおり、小狐はあっさり廊下の納戸の中に隠された鶴丸国永の本体を発見してしまった。
「どうですか? ぬし様」
 嬉しげな小狐を前に、そういえば狐はイヌ科だっけと思い出したのは秘密だ。俺たちは鶴丸の本体を手に、先輩たちと合流しようと廊下を進んでいった。
 廊下を歩く小狐は、いつになく言葉少なだ。今まで、余所の本丸や他の審神者との交流の場に連れていったことが少ない。きっと、他の人間の気にあてられて、疲れてしまったのだろう。心配になった俺は、小狐に声をかけた。
「大丈夫か? 小狐。疲れただろ? ちょっとの買い物のつもりが、大変なことに付き合わせちゃって、ごめんな」
「いえ」小狐はふるふると頭を振った。美しい髪の下の方で結ばれた毛先がヒョイヒョイ揺れるのが、美丈夫な外見とギャップがあって可愛らしい。「私は嬉しいです。ぬし様の力になれて」
「なら、いいんだけど」
「ですが……“夕霧”どのと山姥切国広、“六条の君”と鶴丸国永。人の子が刀剣と強く結びついている様を見て、少しうらやましくなってしまいました」
「それは……ごめん、小狐」
 ひと月前、俺はナンパのことを小狐に知られて、彼との関係が悪化した。そのとき、先輩の鶴丸やスレ民の勧めで小狐と話し合ったのだけれど――そのとき、小狐は俺を好きだと言ってきたのだった。主君としてではなくひとりの人間として好いている、と。
 その想いを、俺は受け入れることができなかった。
 俺は刀剣男士が好きだ。変な意味ではなくて、彼らの本体も彼らの戦う姿も、いずれも素晴らしいと思っている。たぶん、これは愛情というより、崇拝に近い感情だ。だから、刀剣男士と恋愛をするなんて考えたこともない。人間の恋愛にはたいていの場合、性行動が伴う。他の審神者と刀剣男士のことは置くとして、俺にとって性行動はひどく生々しいもので。そんなもので、崇拝の対象を汚したくはなかった。
 刀剣男士を、皆、等しく大切にしたい。だから、お前の気持ちには答えられないと、俺は小狐に告げた。彼はそれに納得しなかったものの、俺のためにと引き下がってくれた。
 今も。小狐は困ったように笑って、俺の頭を撫でた。
「申し訳ございません。ぬし様を苦しめるために言ったわけではないのです。ただ、うらやましい気持ちを、胸にとどめては置けなかっただけです」
「ごめんな」
「――謝らないでくだされ。小狐は、ぬし様のおそばにいられるだけで、十分でございます」
 泣き出しそうに、けれど凛と微笑して、小狐は歩き出す。俺もそれに続いて――やがて、先輩たちのいる部屋に合流した。
 部屋の中央では、縄を掛けられた誘拐犯が怒りの叫びを上げているところだった。それに呼応して、部屋の畳に妖しい緑色の光の線が走る。どうやらこの部屋の畳に、呪術用の方陣が描かれているらしい。
「まずいな。そろそろ退却した方がいい」先輩はそう言って、背後の三日月を振り返った。「宗近、悪いけど、この“荷物”を運んでほしい」
「あまり楽しい役ではないが……承った」
 苦笑した三日月が、誘拐犯の男を肩に担ぐ。その間に、先輩は鶴丸の元へ向かった。術のせいか、中途半端に布団に縫いとめられた彼の手や足の上で、何かを切るような仕草をする。途端、自由になった鶴丸は、勢いよく起きあがって先輩に抱きついた。
「主……! 傍を離れてすまない。俺は護身刀失格だ」
「馬鹿言うな。今度、それで自分を折ろうとしたら、許さない」
「だが」
「何のためにお前を迎えに来たと思ってるんだ。“英雄になる”ためじゃない。分かるだろう?」
「あぁ……。あぁ……分かる。分かっている、つもりだ」
 鶴丸は泣きそうな笑顔を浮かべて、先輩に顔を近づけた。俺からは見えなかったけれど、たぶんその十秒ほどの間、二人はキスをしていたのだろう。それでも、ほどなく立ち上がった先輩と鶴丸は、戦うものの表情をしていた。
「ふたたび戦人たる心構えはできたか、鶴丸国永」
 傍らの小狐はがそう言って、手にしていた鶴丸の本体を投げた。鶴丸は危うげもなくそれを受け取って、ニヤリと笑う。
「あぁ、いつでも刃を振るう準備はできている」
「それは重畳。ここは……いくらも保たぬであろうゆえ」
 小狐が天を仰ぐ。それをきっかけに、皆、爆破で崩壊した箇所から邸の外へ出た。真っ直ぐにゲートへと向かう。しかし、その間にも地面を緑色の光が幾筋も走っていく。
 とうとう、前方の土が盛りあがって黒い影のようなものが現れた。短刀サイズや打刀サイズ、大太刀や薙刀サイズまで。幾体もの黒い影がゲートの前に立ちふさがる。
「邸を護るはずの式が……異界を利用した術のせいで、穢れをまとって暴走している」三日月が言う。
「困ったな」とさほど困ってもいない顔で先輩が呟いた。「さっさとこの空間を出て、“空蝉”に空間ごと異界を封印してもらう予定なんだけど……あいつらがいると、ゲートが使えない」
「ならば、やるべきことは一つ。だろう?」
 鶴丸が好戦的に笑って、刀を抜いた。三日月も誘拐犯を地面に置いて、刀に手を掛ける。山姥切は後輩を護るように背に庇いながらも、刀の柄に手を置いていた。
 最初に動いたのは、鶴丸だった。小柄な身体で、地を蹴って薙刀級の影を一気に斬り伏せる。それをきっかけに、戦闘が始まった。三日月が優雅に刃を振るい、山姥切が鋭い斬撃を繰り出す。しかし、小狐は俺の傍を離れなかった。戦いに加わりたそうにしながらも、俺を護らねばと思うのだろう。
「行け、小狐丸」俺は言った。「俺だって、結界くらい張れる。いざとなれば、“六条の君”だって護ってくれる」
「なれど、小狐はぬし様の刀です。私の想いがぬし様を苦しめるのなら、特別なものは何も要りませぬ。けれど、それなら……ぬし様をお守りする役目だけは、どうしても手放したくないのです」
 俺は呆然として小狐を見た。俺は小狐にも他の刀にも、刀としてもっとも美しい形でいてほしかった。俺のつまらない欲望なんか気にもとめず、ただ、美しく鋭い刃で。
 けれど、それではもうダメなのだと気づかされた。小狐も他の刀剣男士も、刀でありながら心を持つ存在なのだ。その心をなしにはできない。俺が刀剣男士を純粋な刀と扱うことで、彼らの美を、鋭さを鈍らせてしまうなんて――そんなことは我慢がならなかった。
「ダメだ、小狐丸。そんなこと、許さない」
「ぬし様?」
「お前は刀だ。俺を護るためじゃなく、敵を斬るためにある。俺のためだと言うのなら、俺を護るのでなく、俺の意思を示すものになってくれ。……敵を、斬ってくれ。俺は、刃を振るうお前が好きだから」
 俺は目を閉じた。刀剣男士たちの美しい刃は、目を閉じても思い出せる。中でもいちばん記憶に残っているのは、他ならぬ小狐丸だ。稲荷神が平安時代の名工・三条宗近のために、自らの眷属(けんぞく)を相槌に遣わして打たれたという、伝説の太刀・小狐丸。その逸話に恥じない、曇りない美しい刃。
 初めて見たときから、心奪われていた。自分のつまらない欲望で汚すのが我慢ならないくらい、崇拝していた。その刃の化身が、俺を想って鈍るという。そんなことは認められない。俺のために小狐丸の刃が鈍るくらいなら、俺は彼の刃に身を捧げたって構わない。あの刃が俺を斬りさいて、俺の血で刃が研ぎすまされるのなら、喜んで自分を差し出してやろうとさえ思う。だから、今は――。
「ぬし様、好きとは……」
「お前が好きだ、小狐丸。後でちゃんと口説いてやるよ、ナンパ師の名にかけてな。――だが、今は行け。戦って、お前の鋭さを見せてくれ。お前がどれほど美しい名刀なのか示してくれ、俺の刀よ」
 俺の言葉にキョトンとしていた小狐丸は、すぐに獣じみた笑みを浮かべた。「行って参ります」と挨拶するが早いか、次の瞬間には戦線の中へ踊り入っている。俺はひどく満足しながら、その背中を見守った。






7.さにわちゃんねるにて




(スレでは事件の行方について、レスが続いている)


281 ななしの審神者さん
鶴の手がかりは見つかったんだろうか。


282 ななしの審神者さん
大丈夫かな? ってか、なんで政府は動きが鈍いんだよ、ばかぁ!


283 ゲーマー
あ、今、連絡来ました。先輩からです。
鶴丸、無事、救出だそうです。

先輩と後輩くんはいろいろ事後処理があるので、
もうじき、ナンパ師さんが報告に来てくれるそうです。


284 ななしの審神者さん
急 展 開


285 ななしの審神者さん
鶴救出キタ━━━━ヽ(゚∀゚ )ノ━━━━!!!!
しかし、よく発見できたな。


286 ななしの審神者さん
報告マダー
ゲーマーは、なんかちょっとでも聞いてないの?


287 ななしの審神者さん
そうだそうだ。


288 ゲーマー
ごめんなさい。僕も、とりあえず知らせてもらっただけなので。ナンパ師さんを待ちましょう。


289 ななしの審神者さん
ナンパ師が前の報告でフェイクありって言ってたから、あの時点でもう何か動いてたのかもしれん。


290 ななしの審神者さん
にしても、犯人は誰だったんだろう?


291 ななしの審神者さん
犯人はお前だ! なんちゃってーwwwww


292 ななしの審神者さん
寒い。


293 ななしの審神者さん
寒い。


294 ななしの審神者さん
寒いぞ!

295 291
(´;ω;`)


296 ななしの審神者さん
よしよし >291


297 291
>296 抱いて!


298 296
だ が 断 る


299 ななしの審神者さん
>296 の熱い手のひらクルwwwww


300 ナンパ師
>300ゲト!

お前ら仲いいな!


301 ななしの審神者さん
ナンパ師キタ━ヽ(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)人(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)ノ━!!


302 ななしの審神者さん
ナンパ師ktkr
待ってたぞおおおおお!!


303 ななしの審神者さん
報告はよ


304 ななしの審神者さん
ナンパ師はよ。


305 ナンパ師
了解。最初に謝る。誘拐犯がこのスレ見てる可能性にかけて、前回のレスではフェイク仕込んで相手の油断誘ってた。政府が動いてくれないって書いてた時点で、実は動いてくれてたっつーか、動く許可が下りる直前だったんだ。

で、ここからの報告も関係者各位に迷惑が掛からないように、フェイク入れる。ごめんな。


306 ななしの審神者さん
フェイクは報告者のおやくそくー。


307 ななしの審神者さん
気にスンナ


308 ななしの審神者さん
フェイク入りでいいから、報告マダァ-? (・∀・ )っ/凵⌒☆チンチンチン
俺は鶴が助かった部分だけ、知りたいんだよ!!


309 ナンパ師
一部、自分の好奇心に正直なのがいるな。好きだぜ、そういうの。
ってことで、報告。

刀剣盗られて、犯人のアテがあるっつったら、政府が「先輩、戦闘系だし初期審神者だから慣れてるでしょ。そっちに回す人手ないから、セルフサービスでドゾー☆ミ」って言われた。
で、先輩と後輩、後輩の三日月、山姥切で乗り込むことになったんだけどさ。そんな戦力で大丈夫か? って思うだろ? 仕方ないから、俺も小狐と一緒に手伝いに行った。


310 ななしの審神者さん
政府のノリ軽すぎ。
しかも、ナンパ師、手伝いって。


311 ななしの審神者さん
祭りとかの手伝いじゃないんだぞ。


312 ななしの審神者さん
なんで、そう軽いノリで手伝いをするか。
ってか、後輩が戦闘系ではないのに、当然のようにカチコミに同行している件について。


313 ななしの審神者さん
ほんとだ。後輩、大丈夫か!?


314 ナンパ師
あー、後輩な。後輩は確かに、いわゆる戦闘系審神者じゃなかったわ。けど、後輩も物騒だったよ!!?

誘拐犯の邸に着いて、さぁ、中入るかってなったら、入り口に鍵が掛かってたんだよ。で、山姥切と三日月が「斬るか?」って話をしてるときに、後輩がいきなり刀装を取り出した。
後輩さぁ、なんかよく分からんが、変わり種の刀装作るのが特技らしくってさ。刀装展開したら、なんか見たこともない刀装兵が出てくんのな。後輩は『工作兵』って呼んでたけど。その『工作兵』がさ、いきなり爆薬仕掛けて、邸の一部を、

吹 っ 飛 ば し た 。

「さぁ、これで仲に入れますね!」って後輩は無邪気に言ってたよ。先輩は当たり前のように「ありがとう」ってにこにこしてたよ。
何なの? あの二人、何なの? 審神者ってそういうもんだっけ!? 


315 ななしの審神者さん
後輩が案外、過激だった件について


316 ななしの審神者さん
後輩やっぱりつよい……。


317 ななしの審神者さん
先輩、戦闘系だもんなー。
後輩はその先輩を慕って、そろそろ五年だもんなー。

そりゃあ、そうなりますわ(真顔


318 ナンパ師
で、先輩たちは誘拐犯と鶴丸のところへ向かった。
俺と小狐は、どこかに隠されているであろう、鶴丸の本体探し。本体はけっこうすぐに見つかったから、先輩たちのとこに戻ったら、誘拐犯は縛り上げられてた。

後輩の 投 石 兵 に よ っ て 。

ねぇ、刀装の使い方、間違ってない? 間違ってるよね!?
で、後輩が先輩に「誘拐犯ぐーで殴っていいですか?」って聞いてた。怖い。
先輩が後輩を止めた。「そいつ殴ったら、傷害罪になって経歴に傷がつく。馬鹿みたいだから、やめとこうね」ってニコニコしてた。たぶん、あれ、笑ってたけどキレてた。まじ怖い。


319 ななしの審神者さん
先輩よりも後輩の方がガチ切れな件について。


320 ななしの審神者さん
でも、先輩も怒ってるっぽいな。


321 ななしの審神者さん
先輩、後輩、そろって怒りの沸点振り切れてやがる。


322 ななしの審神者さん
ってか、鶴救出の部分はよ!!


323 ななしの審神者さん
そうだよ! そこが肝心なんだよ!


324 ナンパ師
分かってるって。
女士鶴は布団に術? で縛り付けられてて、帯が解かれかかってた。あー、こう言っちゃなんだが、どうやらその……無理にセッしようとしたらしい。先輩たちが間一髪で間に合ったみたいだけど。

先輩が女士鶴のとこ行って、術解いて、二人でしばらく抱きあってた。たぶん、ちゅーもしてたけど、俺ハナニモ見ナカッタ(∩゚д゚)アーアーキコネナイ

で、うちの小狐が鶴に本体渡して、三日月が縛り上げた誘拐犯担いで、皆で脱出……しようとするじゃろ?


325 ななしの審神者さん
脱出……したんだろ?


326 ななしの審神者さん
や。しかし、アクション映画とかだと、脱出前に邪魔が入るパティーンが……。


327 ななしの審神者さん
もしかして:ここで敵が?


328 ななしの審神者さん
えー。誘拐犯どんだけしぶといんだよー。


329 ナンパ師
そのもしかして。誘拐犯が邸を警護するために放ってた式がさ、なんか穢れで暴走して、襲ってきた。ここで刀剣男士の出番ですよ。男士たちが式を切り捨ててた。

鶴丸は、お前、実はバーサーカー丸国永じゃね? っていうくらいの勢いで暴走した式を斬ってた。やばい。鶴丸って、皆、あんなに怖いの? それとも先輩の鶴だけ?
女士鶴なんだけど、瞳孔開いてて、可愛いとかそういう問題じゃなかった。

ちな、先輩も男士が討ちもらした分を倒してた。
戦闘系やべーよ。もはや審神者とは別ジャンルだよ。


330 ななしの審神者さん
バーサーカー丸国永wwwww


331 ななしの審神者さん
まぁ、分からんでもないが。刀剣男士なのに女士化するだけでもストレスだろうに、誘拐されてセッされかけたんだからな。そりゃあ、怒りの沸点も超えるだろうよ。


332 ななしの審神者さん
バーサーカーだろうと、主の前では可愛い鶴だからいいんだよ(・∀・)ニヤニヤ


333 ななしの審神者さん
333ゲト

というか、鶴はなんで誘拐されたんだ?


334 ななしの審神者さん
あ、それは気になる。
話を聞いてると、鶴自身も主の元にいたかったみたいだ。けど、刀剣男士の誘拐は、男士本人が同意しなきゃ不可能っぽいし……。


335 ナンパ師
この辺は明日、政府から事件をぼかした形でメール来るだろうし、ニュースにもなるだろうから言ってしまう。

鶴丸を誘拐したのは、政府の術者のひとりだった。
家柄のいい術者で、それを楯に鶴丸に言うことを聞かなければ先輩の審神者資格を剥奪すると脅したんだとか。先輩は初期審神者だから、実年齢と外見がつりあわない。審神者を辞めさせられても、現世で生きることは難しい。それで、鶴丸は先輩のために、彼と縁を切って誘拐犯と縁を結ぶことに同意してしまったらしい。
そうやって鶴丸を奪った誘拐犯の狙いは、女性化した彼を妊娠させて、その様子を観察することだったそうだ。


336 ななしの審神者さん
絶許


337 ななしの審神者さん
胸糞


338 ななしの審神者さん
許せん。自分、女審神者だが、女性の身体の子を産む能力をそんな風に利用しようとしたことが、本当に許せない。


339 ななしの審神者さん
>338 同意。


340 ななしの審神者さん
男だって、そんなん許せるか!!!


341 ゲーマー
僕が演練に立ち会ってもらったせいで、近侍さんがそんな目に……。


342 ななしの審神者さん
落ち込むな > ゲーマー
お前が罪悪感を覚えることは、先輩も鶴も望まないはずだ。


343 鶴
そうだぜ > ゲーマー


344 ななしの審神者さん
ほんそれ


345 ななしの審神者さん
って、鶴!!!!???


346 ななしの審神者さん
鶴だ! 鶴が来たぞ!!!!
大丈夫なのか > 鶴


347 ななしの審神者さん
大変だったな。> 鶴


348 ななしの審神者さん
落ち着くまで、無理に書き込みしなくてもいいんだぞ?


349 ななしの審神者さん
そうだよ。無理しなくていいよ。


350 鶴
皆には心配かけたのでな。あまり時間はないが、少し、礼を言わせてくれ。皆、心配かけてすまなかった。
過去ログもたどったが、ナンパ師といろいろ考察してくれたんだな。主たちが動いている間も、心配してくれていて……本当にありがとう。

手短ですまない。
今日のことで、俺が元に戻らないと言った術者の判断には疑いが出てきた。女士の姿になった俺を診察していたのが、誘拐犯だったからな。
後日、もう一度、検査することが決まった。
結果が出たら、ここへ報告にくる。
それでは、落ちる。


351 ななしの審神者さん
大円団とはいかないが、元に戻る希望は出てきたわけか。


352 ななしの審神者さん
元に戻る方法がありますように。


353 ななしの審神者さん
そうだな。誇り高い刀剣男士なのに、女姿になったから孕まそうなんて、侮辱だ。戻る方法が見つかればいいのに。


(以下、女士鶴が戻る方法があるようにと祈るレスが続く)






8.鍛刀師(R-18注意)




 事情聴取から解放された私たちが官舎に戻ったのは、深夜のことだった。私も疲れていたが、誘拐されていた国永はいっそう疲労の色が濃い。刀帳を開いてみたら、赤疲労のマークになっているかもしれない、というくらい。
 夕食は聴取の合間に済ませたから、後は入浴して眠るだけ。私は国永に先に風呂を譲って、寝る支度を済ませた。交替で風呂に入って、上がってみると部屋には国永がいた。私のベッドの上に、膝を抱えて座っている。多少の違いはあれど、こういうパターンはもう三度目。さすがの私も焦らなかった。
「国永」声を掛ければ、彼は顔を上げる。「今日はここで眠るのか?」
「……いけないかい?」
「いいよ。今日、国永は大変な目に遭ったから、してほしいこと、聞くよ」そう言って、私はベッドに腰を下ろした。国永の顔をのぞき込んでみる。「――でも、嫌じゃないか? あんなことがあった後で、他人の体温が間近にあるのは……」
「……君は、あの男とはまったく違う。君は俺の主で、愛しいつがいだ。あの男との接触には嫌悪しかなかったが……君に触れること、触れられることは俺の喜びだ」
 国永は私の手を取った。掌をなめらかな頬にあてがって、頬擦りをする。けれど、伏せた視線を上げてこちらを見た国永の目には、傷ついた色があった。
 刀剣男士でありながら、女の姿になってしまったこと。そればかりか、今日、女として利用されかかったことは、国永の心をひどく傷つけてしまったのだろう。それは、本当なら負わなくてもいいはずの傷だった。もしも、国永の受けた痛手が癒えるのならば、私はどんなことだってするだろう。
 そう思いながら、国永の額に唇を触れさせた。目元、頬、唇と、触れるだけの軽いキスを落とす。それから、顔を離して、私は尋ねた。
「……私と一緒に眠れば、国永は少しは楽になる?」
 すると、国永は少し困ったような顔をした。何か言いたげな様子。私はさらに問いを重ねる。
「私はどうすればいい? お前が望むことなら、私は何でもする」
「――君を、抱きたい」
「うん」
「無茶を言っているのは、分かっている。でも、したい。君が気持ちよくてわけが分からなくなるくらい、追いつめたい。夢中になって、明日の検査のことを忘れてしまいたい」検査でまた元に戻れないと言われるのが怖いんだ、と国永は呟いた。
 好きにしていいよ、と私は答えた。


 手伝おうかという私の言葉を断って、国永は私の前で自慰をしてみせた。寝間着をすべて脱ぎさって、膝を立てて足を開き、潤んだ陰部を愛撫している。細い指を二本、膣に沈めてゆっくり抜き差ししていた。左手は、柔らかく胸を愛撫している。最初に力一杯そこを掴んだときに比べれば、まぁ、不安なく見ていられる触れ方だった。
 やがて、膣からあふれた透明な液体がシーツに滴り落ちる頃、国永は私に声を掛けた。
「主……。枕の下にあるもの……取って」
「枕の下?」
 はて、自分の枕の下に何かあっただろうか? 不思議に思いながら手を伸ばすと、固い感触が指に触れる。掴んで引っ張りだした瞬間、私は叫びそうになった。
 それは、ディルドだった。しかも、わりとご立派な。
「ちょ、これ……! これ、何!?」
「何って……見れば分かるだろ?」
「分かるけど! っていうか、何で私の枕の下にこんなモノが……!?」
「今夜、使おうと思って、忍ばせておいた」
 国永の言葉を聞いた瞬間、私は少しだけ、疑ってしまった。彼のさっきのしおらしい態度、実は芝居だったんじゃないだろうか――なんて。しかし、男に二言はない。言うことを聞くと言ったら、聞かなくてはならないのだ。
 それでも、聞きたいことは山ほどある。
「これ……誰が使うの?」
「俺、と主」
「とりあえず、国永が使うなら、このサイズはちょっと無理なんじゃない? たぶん、国永のその身体は処女だろうし。初めてのときはぜったい痛いよ。そりゃあ、男が後ろを使うよりは女性の方が受け入れやすいだろうけど……それでも処女は出血するっていうし」
「あぁ、したな。初めて自分でディルドを突っ込んだとき、血が出た。あれには参った」
「な、何やってるんだよ!? だから、あれほど女性の身体には優しくって言っただろ!! ……ていうか、そんな痛そうなこと、よくするな。驚きのためとはいえ、身体張りすぎだろう」
「驚きのためじゃない。俺が、この身体で主を抱くためさ」
 淡い金の瞳を細めて笑い、国永はゆっくりと自分の内側にディルドを沈めた。けっこうなサイズのそれを、彼のその箇所は呑み込んでいく。すべてを体内に収めてしまうと、国永ははぁと色めいた息をひとつ吐いた。
 それから、私を見つめる。
「さぁ、主」
「え?」
「主の身体を馴らす番だ」
 寝間着を脱いで、横になれと指示される。約束が約束なので、私は仕方なく従った。私に覆いかぶさる体勢になった国永が、掌でそろそろと肌をたどっていく。まるで女にするようにしばらく胸を愛撫してから、腹部、そして下肢へと至る。
「反応しているな」
 嬉しげに言って、国永は勃ちあがった私の性器の先端をクルクルと指の腹で愛撫した。明らかに焦らすような愛撫に、もどかしくて腰が揺れそうになる。それを感じ取ったのか、国永はすぐにそこから後孔に触れた。足の間に身を屈めて――濡れた感触が後孔の表面に触れる。それが国永の舌だと気づいた瞬間、カッと身体が熱くなった。
「くになが、何やって……!」
「何って。君だって、さんざん、この姿の俺にしただろう?」
「それは……! 性器にするのと、排泄器官にするのとはぜんぜん違うだろ……!」
「排泄器官? よく言う。君のココは……女の俺の女陰よりもよほど快楽を拾うくせに」
 私は起きあがろうとしたけれど、国永はそれを許さなかった。刀剣男士の人並み外れた力で私を押さえつけ、後孔への舌での愛撫を続ける。私は動くこともできなくて、ただただ温かく湿った舌の感触に耐えるしかない。
「っ……ふ、……くぅ……うぅ……」
 堪えているのに、途切れがちに悦さそうな吐息が漏れてしまう。それが恥ずかしいのに、羞恥で興奮しているのか、私の性器はいっそう反応していた。触れられてもいないのに、ポタポタと下腹に先走りが落ちてくる。
 私は唇を噛んだ。と、途切れがちに国永の艶めいた吐息が聞こえてきた。ディルドを体内に入れたままにしているせいで、姿勢を変えるたびに刺激が伝わるらしい。目元を赤く染めて、吐息を吐きながら、私への愛撫を続けている。
 この後、国永はどうするつもりなのだろう。何でもいいから早く達したい。もはや理性は崩れかかっていて、私は解放されたい一心で国永を呼んだ。
「くになが……ね、もう……」
「おや、もう堪えきれないのか、主?」国永は顔を上げて、嬉しそうに笑った。うっすらと頬を染めたまま微笑する顔が、ひどく色っぽい。「堪え性がないな、君は」
 国永は膝立ちになって、ゆっくりと自身の内部からディルドを引き抜いた。そこから、とろりと透明な液がシーツに滴る。国永は体液に濡れたディルドを、ゆっくりと私の後孔にあてがった。
 え? と口にする間もない。ディルドは舌での愛撫に解された後孔に、あっさりと押し入ってくる。国永が女性かしてから、そこにそれほどの質量を受け入れたことはなかった。久しぶりに受け入れる質量の異物感と充足感に、知らず、呼吸が浅くなる。
 やがて、ディルドの大半が私の内側に収まったようだった。
「大丈夫か、主?」国永が尋ねてくる。
「っ……。こんな質量、処女なのに……よく身体に入れようと思ったな……」
「普段の君の気持ちを、味わってみようかと思ってな」
「は?」
「分からないか?」国永はニヤリと笑って、軽くディルドを動かした。体液でぬめるディルドが、後孔から少し抜けて、また戻ってくる。その感覚に、背筋がゾクゾクする。「これは、俺が男の姿のときと、だいたい同じ大きさだ」
「っ……悪趣味。自分の勃ったときのサイズ、測ってたのか……?」
 馬鹿な問いだとは思ったが、尋ねずにはいられない。
「さすがに俺だって、普段、そんなことをしたりはしないさ」
 国永は苦笑して、さにわちゃんねるの質問スレで同位体が答えているのを見たと種明かしした。それはそれで、同位体どうなってるんだ、と思わないでもないが。
 それにしても、君、いつも大変なんだな。まぁ、悦さそうにしているから、いいんだろうが。なんて他人ごとのように言って、国永はディルドのスイッチを入れた。ジィという微かな振動音と共に、ディルドが震えだす。振動が微妙に前立腺を刺激して、私は思わず両足をすり合わせた。
「国永、これ、嫌だ」
「そんな顔するな。まだこれからだぞ」
 国永は私の上に身を乗り上げてきた。かと思うと、勃ちあがった私の性器の上に、腰をあてがう。まさか、と私は身をすくめた。
「やめろ、そんなこと――」
「何を怯える? 俺はこのために、自分で馴らしてきたんだ。そうでもしなければ、君はずっと俺に手を出さなそうだからな」
 ――このヘタレ。
 と、優しい笑顔で囁いて、国永は一気に腰を下ろした。熱く湿った箇所が性器を包んで、強烈な快感がこみ上げる。達してしまいそうになった。けれど、辛うじてそれを踏みとどまる。いきなり彼の体内に吐精するのには、抵抗があったのだ。
「……っ、くになが……やめろ……。抜いて……」
「君な……。君が生娘みたいな反応して……どうするんだ。これじゃ……まるで俺が、君を手込めにしたみたいだろ……?」
 苦笑しながら、国永はゆらゆらと小さく腰を揺らした。結合部から小さく水音が聞こえてきて、耳を塞ぎたくなる。やめてほしい、と私は首を横に振った。
 国永はちょっと首を傾げてから――肩を竦める。
「まぁ、いいさ……。君が理性を失うくらい、悦くしてやろう」
 身を屈めた彼は、ディルドに触れたようだった。振動を強くしたらしい。体内のディルドの刺激がいっそう強くなる。それから、国永は身体を支えて動こうとしたのか、私の腹に手をついた。下腹がグィと押されて、ディルドの先端がいちばん奥に触れる。振動が奥にまともに来て、強烈な快感が襲ってきた。
「やっ……あああぁぁぁ……!」
 声を押さえることができない。快感に引き上げられるようにして、そのまま達してしまう。感覚が弾けて、意思に反して身体が跳ねた。内部がギュッと収縮して、内側で振動するディルドの存在が鮮明に感じられた。
 達してなお、感覚を刺激しつづけるその存在が苦しくて、私は何度も首を横に振る。ほとんど哀願のように国永に抜いてと頼んだら、さすがに彼も心配になったらしかった。結合を解いてから、国永は私の内部からディルドを抜き取った。まだ動いているそれのスイッチを切って、シーツの上に投げすてる。
「……ん……」
 あれほど苦しかったのに、唐突な喪失感に甘い呻きをもらしてしまう。目を開けると、涙にかすんだ視界に国永の申し訳なさそうな顔が見えた。
「すまない……。強すぎたか?」
「っ……きもちよすぎて……こわかった……」
「そうか。悪かったな」慰めるように、国永は私の目元に唇を触れさせた。赤い舌を出して、チロリと涙を舐めとる。「だが、君、分かっているか? 達したのに、吐精してない」
 言われてみれば、その通りだった。いわゆるドライオーガズムというやつだ。何度か、興味に任せて国永と試してみたけれどできなかったそれを、まさかこんなときに達成してしまうなんて。
「もう続けるのはつらいか? なら、俺が口ででも静めるが……」
「ううん……。それより――」私は気だるい身体を動かして、手を伸ばした。国永の腕に触れる。「お前は、まだ達してないだろう……? もし、嫌じゃないなら……ちゃんと、抱きたい……」
「抱きたい? 俺を?」国永は目を丸くした。
「ん……。お前は、いつも私を愛してくれるから……とても大事に触れて、幸せな気持ちにしてくれるから……。少しでも、それを……返したい」
 ちゃんと抱けるのか、うまくできるのか、保証なんてないけれど。それでも、お前に抱かれて幸せなのだと伝えたくて。そう言うと、国永はくしゃりと困ったような、泣きだしそうな、それでいて幸せそうな顔で笑った。
「それなら、君が、俺を抱いてくれ」そう囁く。
 私は頷いて、体勢を入れ替えた。国永に覆いかぶさって、正面から身体を繋げる。熱くてぬかるんだ箇所に自身を収めて、静かに馴染むのを待った。彼もゆっくりと呼吸をしている。
「痛くないか?」そう尋ねると、
「自分でディルドを挿れたときより、百倍マシだ」と彼は笑った。それから、ふと真顔になって、こちらを見る。「主は処女の方がよかったか?」
「なんで今更そんなことを」私は笑ってしまった。「処女がどうこうと言うなら、私だって、ずっと前から“処女”じゃないけど?」
「それもそうか」
「だいたい、男同士で処女かどうかなんて、変な話」
「男、なぁ……。君の中で、俺は今でも“男”なのか」
「そりゃあね。それは、外見どうこうじゃない」
 鶴丸国永は、私が知る中でもっとも素晴らしい戦人のひとりだよ。そう言いながら、彼の唇の端に口づける。途端、キュッと彼の内部が動いた。
 はぁ、と吐息をこぼして、国永は私を見る。少し動いてみてほしい、と言われて私は静かに腰を揺らした。そうする度に、彼の内部から体液があふれてきて、腰の動きがより滑らかになっていく。
「もう少し……強く……」
 言われて、私は腰の動きを少し大きくしてみた。深く内部を進めば、ときどき性器の先端がコツリと奥をかすめる感触がある。痛いのではないかと思ったけれど、奥を穿つ方が内部の反応が大きいようだった。私は正直、限界が近かったけれど、国永の方はそこまででもないらしい。もう少し耐えようと思いながら、私は行為を続けた。
 痛くないかと尋ねつつ、慎重に性器をできる限り奥へ進める。と、ある瞬間、先端にグリッという感触があった。「あっ!」と国永が高い声を上げて、内部がいっそう強く収縮する。内部で性器の先端に吸いつくような感覚があって、私は思わず腰を引きかけた。
 途端、国永が私の腰に足を絡めて、それを阻止する。
「主、そのまま……! もっと、してくれ……!」
「ダメだ……。……だって、奥……たぶん、これ子宮口にあたってる……!」
「中で、出せばいいだろ……!」
「っ……。中、汚したくない……」
「ほぅ……? 俺が中に出すのも、嫌だったか……?」
「そうじゃ、ないけど……!!」
 普段、国永とするとき、彼は体内で吐精をする。それは好みの問題以前に、房中術としてその方が効率がいいからだ。後処理は大変だが、神気をもらって霊力として用いるのに便利なのである。それでも、今、自分が他人の体内で吐精するとなると……後処理の大変さを知るだけに、どうにも気が引けてしまう。
 しかし、彼は許してはくれないようだった。
 私の腰に足を絡めて、いっそう深く結合を促してくる。しかも、性器を収めている内部は熱く収縮しているし、子宮口と思われる箇所は先端に吸いついてくるし。わけが分からなくなりそうで、私はしきりに頭を振った。
 けれど、奥で快感を覚えているのは、相手も同じらしい。二人して、喘ぎとも泣き言とも、睦言ともつかぬ声をもらしながら、ほぼ同時に達する。私はもはや身体を支えていられなくて、結合を解いて、辛うじて国永の傍らに身を投げ出した。


 そのまま後処理もろくにしないまま、私たちは眠ってしまたらしい。目が覚めたときには、すでに朝が来ていた。半分まどろんだまま、寝返りを打とうとする。しかし、私の動きは、背後からガッチリ身体を抱きしめる腕に阻まれた。
 いやに力強い腕だ。まるで、男のような――。
 と、肩越しに振り返ったところで、私は唖然とした。私を背後から抱きしめるようにして眠っているのは、男の国永だった。彼の腕の中で、寝返りを打つ。思わず胸に触れると、細身ながらもしっかりした男の胸板の感触だった。それだけではまだ信じられなくて、下肢へと手を伸ばす。そこには確かに、男の象徴があって――朝ということで、その、反応していた。
 この状況、どうすれば。
 反応に困っていると、国永がパチリと目を開けた。まるで、最初から起きていたかのようなタイミングだ。
「お、おはよう……。戻ったみたいだな」
「あぁ。無事に戻って、ほっとしたぜ!」
 明るく言った国永は、そこでチェシャ猫のような人の悪い笑みを浮かべた。淡い金の瞳がいたずらっぽく輝いて、形のいい唇が私の懸念していた事柄を紡ぐ。

「――さて、せっかく元にもどったことだ。我が愛しの君に、さっそく、一戦、お相手願おうか?」






9.さにわちゃんねるにて





(スレでは、女士鶴の検査のことで、皆が心配している)



573 ななしの審神者さん
鶴の検査、何時からなんだろ?


574 ななしの審神者さん
元に戻れるといいけど……。


575 ななしの審神者さん
うー。心配すぎて仕事が手につかない。


576 ななしの審神者さん
>575 仕事しろ。


577 ななしの審神者さん
>575 仕事しろ。

鶴、早く来ないかな。


578 ななしの審神者さん
>575 仕事しろ。

だが、もしまた、元に戻れないって判定されたら?
ショックすぎて報告に来られないんじゃないか?


579 ななしの審神者さん
>575 フルボッコwwwww

まぁ、どうしても報告しろとは言えないよな。


580 575
(´;ω;`)ウッ…



581 鶴
つハンカチ >575

ところが、検査する必要はなくなったぜ!
いちおうしたけどな。


582 ななしの審神者さん
お!


583 ななしの審神者さん
鶴ktkr


584 ななしの審神者さん
キタ━━━━。゚+.ヽ(´∀`*)ノ ゚+.゚━━━━!!


585 ななしの審神者さん
検査行く必要なくなったって? どういうこと?


586 鶴
元の鶴丸国永の姿に戻ったぜ!

つ(どこかの本丸の庭で、刀剣男士の鶴丸国永がvサインしている写メ。片手にはIDを書いた紙を持っている)


587 ななしの審神者さん
元にもどっとる!!


588 ななしの審神者さん
やったぁぁ!! よかった!
どうやって戻ったんだ?


589 ななしの審神者さん
心当たりあれば、その辺kwsk


590 鶴
政府でも話したが、どうやら主とちゃんとえっちしたことが良かったらしい。主の気を体内に受けることで、乱れていた気の流れが正常化したんだとさ。


591 ななしの審神者さん
とうとう主、手を出したのか。


592 ななしの審神者さん
ってか、一ヶ月も手を出さなかったって、我慢強いんじゃないか? だって、この鶴、けっこう何度も誘ってたっぽいし。


593 ななしの審神者さん
主の気を受け入れたってことは、主が鶴を抱いたんだよな? ……主を泣かせたり、潮噴かせたりする鶴だから、素直に抱かれたとは考えにくいんだが。


594 ななしの審神者さん
やー。でも、さすがに女の身体では抱こうにも抱けないだろ。


595 ななしの審神者さん
世の中には女責めという言葉があってじゃな。


596 鶴
何をしたか、知りたいのか? 簡単でいいなら書く。
主にディルド入れて奥責めながら、騎乗位してたら、主がドライでイった。で、そこから主が俺を抱いてくれて、目が覚めたら元に戻ってた。

しかし、女の身体すごいな。奥に当たったら、ものすごい気持ちよかった。
たぶん、本当に好きな相手としたからなんだろうけど。


597 ななしの審神者さん
ちょ。


598 ななしの審神者さん
さらっと鶴がエロい件について。


599 ななしの審神者さん
自分はまた主がハードそうで同情する。
ってか、何なの? 先輩と鶴、なんかまた修行みたいなセックスしてない?
どれだけ新境地の快感を発見できるか的な。


600 ななしの審神者さん
ほんそれ。


601 ななしの審神者さん
まぁ……二人がそれでいいなら、幸せなんだろう。
まんばが破鍋に綴蓋って言ってたし。


602 ナンパ師
先輩と鶴が、なんだかんだエロい件について。
俺なんか、刀剣男士を性の対象にすることでかなり悩んで、小狐にかわいそうな思いさせたのにさー。先輩と鶴はこれだもんな。なんか、あほらしくなってきたわー。俺が真面目に悩んだ時間返せ。


603 ななしの審神者さん
お、ナンパ師か。
そういや小狐と仲直りしたけど微妙って言ってたよな?
あれ、どうなったんだ?


604 ななしの審神者さん
ついでにkwsk


605 ななしの審神者さん
そうだ。この際だから、話していけよ。


606 ナンパ師
小狐と恋仲になった。

最初に俺のこと好きって言ったのは小狐だけど、俺は刀剣男士を性の対象として(ry で、一度はお断りしたんだよ。けど、昨日、先輩たちの鶴を救出に行ったときにさ、ふと思ったんだ。俺、小狐丸の刃になら斬られても本望だって。
で、惚れてることを自覚した。
二人で本丸帰ってから、俺が小狐を口説いて口説きまくって――小狐は、恥ずか死にかけて、今朝まで押入に引きこもってた☆ミ


607 ななしの審神者さん
☆ミじゃねーよ!


608 ななしの審神者さん
急 展 開


609 ななしの審神者さん
これは……よかった、のか?


610 鶴丸
今、ナンパ師と小狐が近くにいるんだが、まぁ、仲睦まじい様子だ。


611 ななしの審神者さん
まぁ、幸せならいーんじゃね(棒


612 後輩
ちょっと、近侍さん! いくら成人指定板だからって、あんまりエロいこと書かないでください///
俺がまともにスレ追えなくなっちゃう(`□´)コラッ!


613 ななしの審神者さん
後輩ktkr


614 ななしの審神者さん
後輩だ!! 久しぶり!!


615 ななしの審神者さん
鶴が戻って、先輩もほっとしてるだろ。
二人を心配してた後輩もこれで一安心だな。


616 ななしの審神者さん
鶴が戻ってよかったな。


617 後輩
ありがと。

今、先輩と悪友さんがうちの本丸に来てるとこ。もちろん、近侍さんもいるよ。政府術者の検査を、うちの本丸でやってたから。
検査の後、ゲーマーくんとナンパ師さんもうちの本丸に来て貰った。今から皆でプチお疲れさま会するところです。


618 ななしの審神者さん
そっか。


619 ななしの審神者さん
よかったな。


620 ななしの審神者さん
皆、お疲れ。


621 後輩
スレで見守ってくれた皆、ありがとう。
今度こそ、最後の報告写メを置いていくね。

つ(三日月、鶴丸、山姥切、加州が並んで立っているところ)
つ(縁側に座る審神者たちの後ろ姿。右から、落ち着いた背中の審神者、呼ばれたののか今にも立ち上がりそうな元気な様子の審神者、色素の薄い髪のすらりとした背中の審神者、やや猫背の小柄な審神者、そして黒い着物が似合う粋な雰囲気の審神者)

つ(縁側で大福を食べている鶴丸と三日月。鶴丸は大きく口を開けて、豪快に笑っている)
つ(縁側に座る男審神者の後ろ姿。彼の前に立った鶴丸が、手を差し伸べている。鶴丸は目を細めて愛しげな表情をしている)




つ(身を屈めて、縁側に座る男審神者に顔を近づけている鶴丸。キスの最中のようにも見える)


622 ななしの審神者さん
鶴、元気そうだなーと思ったら、最後!!


623 ななしの審神者さん
鶴丸、男前だよな。これが女士鶴だったとは、信じられん。


624 ななしの審神者さん
それにしても、三枚目。いい写真じゃないか。
鶴丸が、愛する者がある男の顔してる。元に戻れて、本当によかったな。鶴丸が、ありのままの自分で、恋人を愛せる状態に戻れて、本当によかった。





(以下、ゆっくりスレが流れて、やがてひっそりとdat落ちする)











長い上に特殊なお話にお付き合いくださって、ありがとうございました!
最後まで読んでいただけて、とても嬉しいです!







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