戦闘系審神者トーナメント1


★pixiv内の企画『【企画】戦闘系審神者の皆様へ』に乗らせていただいた小説です。
★ちゃんねる風小説です。
★戦闘系審神者など、独自設定含みます。









トーナメントひと月前




 主の心底、嫌そうな顔は久しぶりだ。特に外面のいい主のことである。仲間にとはいえ、なかなかこうも辟易してみせることはない。
 こいつはなかなかの驚きだ、と俺――鶴丸国永はことの成り行きを見守った。その間も主――“六条の君”は顔をしかめたまま、話を続けている。やはり穏やかそうに見える面差しは、整っているのだが、いささか地味な印象だ。が、彼のまとう火の性質を帯びた霊力が、あたりを照らしだすかのような不思議な存在感を主に与えていた。もっとも、そのままでは主が人を惹きつけすぎるので、加護で彼の霊力の大半を覆いかくしているのだが。主の霊力の真実の美しさを知っているのは、自分だけでいい。俺はそう思っているのだが、主はただこちらの手の中で大人しくしているような性質ではない。そういうところも、実はとても気に入っている。
 その愛しい主は今、仲間の一人に食ってかかっているところだった。
「――どうして私がそんなイベントに出なくちゃいけないんだ。他にも適任はいるだろうに」
「いや、適任はあなただよ、六条の。どうせ嫌がってるのは、目立ちたくないとかそんな理由なんだろ。つべこべ言ってないで、参加する!」
 そう言って一枚のチラシを突きつけたのは、二十代前半に見える男だった。真名は知らないが、仲間うちでは“空蝉”の号で呼ばれる審神者である。色素の薄い髪と瞳、真顔でもどこか微笑しているかのような面差し。人間にしては、不思議な軽やかさを感じさせる男だ。
 その空蝉が手にしているのは、戦闘系審神者トーナメント開催のチラシだった。
 歴史修正主義者との戦いにおいて、敵と戦うのは刀剣の付喪神――刀剣男士とされている。審神者の役目は彼らを現世に降ろし、導くことだ。ある意味では付喪神たちを祀る巫子であるし、彼らに捧げられた贄という面もなくはない。だが、審神者の中には自らを鍛え、戦う者もある。彼らがいわゆる『戦闘系審神者』になる理由はさまざまだ。刀剣たちをよりよく指揮するために実戦を学ぶ者。刀剣たちのみ戦わせるのは忍びないという者。あるいは、前任の非道から出陣拒否をするようになった刀剣を引き継いだ者。
 また、そうした事情がなくとも、審神者を長く続けた者は武術を学び始める傾向が強い。というのも、武術によって心身を鍛えることで霊力の量と質が向上するからだ。霊力は魂から生み出されるもの。その魂は、己の心根のあり方によって清浄にも汚濁にもなりうる。となれば、刀剣たちに健やかでいてほしい審神者が武術を習いだすのは自然な流れだった。
 ちなみに、霊力の向上には主に精神を鍛えればいいので、老人や子ども、病弱な審神者などは囲碁や将棋、チェスを選んだりもする。
 ともかく、政府は非公認ながらも戦闘系審神者は多い。そこへ、トーナメントの開催である。きっと参加者多数だろう。しかし、このトーナメントの開催には裏があった。現在、政府内には歴史修正主義者側のスパイがいると思われる。しかし、このスパイがなかなか尻尾を見せない。そこで、大規模イベントを行うことで敢えてこちらが隙を見せ、敵の行動を誘うというのが今回の作戦だった。
 トーナメントの発案者は、号持ち審神者の一人――“犬君”という男だ。刀剣も審神者も練度上限に達しており、かつ特別な力や技能を持つ審神者は、政府からの特別任務を与えられることがある。その際に一緒に“号”と呼ばれる通り名をもらうのだった。
 特に犬君という男は、同田貫と同種の――ある意味、戦闘狂のようなところがある。各種の刀剣の扱いに長け、『武家の記憶』や夜の京へ嬉々としてついていくような性質だ。トーナメント開催は陽動だが、犬君の趣味という面もある。
 このトーナメントが陽動として機能するためには、目玉がなくてはならない。号持ちが数名、出場をすることになる。そのうちの一人として候補に上がったのがうちの主――六条の君というわけだ。が、主はかつて自分の本丸を失ったことを悔いている。審神者としては、とても刀剣の本神に顔向けできないと考えて審神者を名乗ることをやめたくらいだ。その主がトーナメントなどという大舞台に上がることをよしとするわけがない。
 さて、どうしたものか。
 そう思ったときだった。空蝉の近侍の三日月宗近が、声を発した。
「六条の君の言い分は言い分として、とーなめんととやらの開催当日、他の号持ち審神者は自らの部隊を率いて、要所要所に割りふられる。自由になる者の数は少ない。となれば、六条の君に話がいくのも無理はなかろう」
「う……。それはそう……ですが」主は言いよどんだ。
 三日月宗近という刀は、個体差はあれ策略に優れた刀である。それも、名軍師といわれる黒田如水に所持されたへし切長谷部や、天下を治めた豊臣秀吉に使われた一期一振の戦上手とはちがう。言ってしまえば、“政治”に通じている。きっと、足利や豊臣、徳川など為政者の元を点々としてきたためだろう。大局を見る視点を持っている。
 ――とはいえ、本人が策略家かといえばそうでもない。政治的な視点はあるのに、性格のためか己の能力の使いどころが分かっていない点だった。個体差もあるが、空蝉の三日月はその傾向がまことに顕著である。いわゆる天然だった。真面目な話をしていたかと思えば、「それに、そっちの鶴丸も主の戦う姿を見てみたいだろう」なんて言う。
「まぁ、そりゃそうだな。今回のトーナメントでは術を使って、戦闘におけるいかなる負傷も残らないというし」
 そう。トーナメントは刀剣の演練方式だ。試合中に傷を受けても、終了後には回復する。――回復するというより、そもそも負傷しているように見えていたのが解除される、という方が正しいのだが。
 刀剣の演練では、演練場に特別な術式が掛けられている。演練場で戦ったとしても、この術式が空間をねじ曲げて攻撃を吸収してしまう。結果、どれほど戦っても互いに相手には傷ひとつ付けられない。物理的には。ただ、このとき別の術式が作動して、その場にいる者すべてにリアルな幻を見せる。戦闘によるダメージで負傷する幻を。一種の仮想現実のようなものだ。もともと肉体というのは意識に影響を受けるものだが、演練場の幻はより強く肉体への働きかけを行う。結果、演練場では戦闘が行われたように見えるのに、試合が終わると元通りに回復するように見えるのだった。
 今回、初めて人間にこの方式を適用するという。俺としては、主の身が安全だというなら主の戦いを見ていたかった。
「国永もそう言うのか……」
「そりゃあな」
「ほら、近侍もこう言ってることだし! とにかく、こっちの動きを助けると思って。歴史修正主義者への潜入組も動くし」
「え? “笹ノ露”たちも動くのか?」
 主はハッとした顔になった。笹ノ露というのは、主が以前、関わったことのある審神者の一人だ。紆余曲折あったが、二年ほど前に自らの本丸の刀剣を数振率いて、敵側に潜入していった。行った先が先なので、なかなか連絡を取ることができないのだが、無事でいるらしい。主も俺も気にかけている子だったから、安否を聞くことができてホッとした。
 空蝉もそれを分かっているのか、微笑している。
「作戦を成功させるために、なるべくトーナメントに注目を集めたいんだ。協力してくれるよね?」
「まぁ、そういうことなら……」
「じゃ、トーナメント参加申込みよろしくー」空蝉は主に申込み書を差し出した。それから、俺へと目を向ける。「それから、鶴丸国永さまにお願いがあるのですが」
 空蝉の口調が丁寧になる。付喪神は腐っても神の一種である。自分の本丸の刀剣に対しては気安い口を利くが、他の審神者の刀剣には恭しい態度を見せる審神者はけっこう多い。
 空蝉の変わりように俺は驚かなかった。
「どうした?」
「鶴丸国永さまには、さにわちゃんねるに書き込んでいただきたいのです。主がトーナメントに出場している刀剣の書き込みとあらば、きっと話題になるでしょう――」






トーナメント当日さにわちゃんねるにて



1 ななしの審神者さん
ここは第1回戦闘系審神者トーナメントについて語るスレです。

長らく政府非公認だった戦闘系審神者の存在が、ようやく公式に認められたイベントです。ファンも戦闘系審神者をめざす皆も、ゆっくり話しましょう。

トーナメント観戦組は、なるべく試合中、実況をお願いします。

次スレは950ヨロ


関連スレ

トーナメント予選落ちした悲しみをハイテンションで叫ぶスレ12

トーナメント出場者予想スレ23スレ目


2 ななしの審神者さん
2ゲト
〉1乙カレー


3 ななしの審神者さん
〉1スレ立て乙


4 ななしの審神者さん
1乙

いよいよトーナメント当日だな。会場観戦組はいるか?



5 ななしの審神者さん



6 ななしの審神者さん
ノシ

そういや、前スレ800あたりで、主が出場するって言ってた鶴丸がいたよな?
トーナメント当日に書き込むって言ってたけど、いまスレいるのかな?


7 ななしの審神者さん


予選から3日間、観戦組。
しかし、昨日の鶴の主、強かったよな。トーナメントに出てるのは、だいたい腕に覚えのある審神者だってのに、あれだもん。
そりゃあ、ガチの戦闘系審神者が人類卒業って言われるはずだは。


8 ななしの審神者さん
あれなー。
戦闘系審神者、まぢやばいと思いましたまる


9 ななしの審神者さん
昨日今日と会場どころか、ライブ映像も見られなかった俺に産業plz
政府―、なんで予選のライブ映像放送してくれないのさ。
ブラックすぎんよ。


10 ななしの審神者さん
過去スレ池



びっくりじじいの主
ブラック(疑)審神者相手に
無手で圧勝


11 ななしの審神者さん
〉ツンデレ乙

無手っつーか、あれ、扇使ってたじゃん。
まぁ、相手は薙刀だったから、無手っちゃ無手だが。
戦闘系審神者まぢ人外いやがるな、と思ったけど。


12 ななしの審神者さん
あの扇遣いの対戦相手、今日のニュース系のスレで摘発されたって書かれてたぞ。

刀剣に無理矢理、夜伽やらせてたらしい。


13 ななしの審神者さん
mjk

つか戦闘系審神者って、ブラック引継で自分が出陣しなきゃっていうのじゃなきゃ、刀剣と仲よさげなイマゲなんだが。
戦闘系審神者かつブラックって、珍しくね?


14 ななしの審神者さん
確かにな。

自分、人類卒業にはまだまだな、いちおう戦闘系審神者なんだが。戦場に立ったら刀剣たちのすごさとか心情とか、けっこう分かる。あと、戦う者への敬意だって、今まで以上に強くなる。
戦場経験してるのに、戦ってくれる刀剣への敬意を忘れるとか、まぢ理解不能。絶許。


15扇遣いの鶴
〉14君はいい人間だな。ずっとそのままでいてくれよ。


16 ななしの審神者さん
つか夜伽強要とかイミフじゃね?神気もらったって、強くなるわけじゃないのに。

せいぜい霊力増量するくらいだけど、そも今回のトーナメント霊力関係ないし。


17 ななしの審神者さん
それな。

つか
〉15鶴キタ――(・∀・)



18 ななしの審神者さん
まってたぞ!


19 ななしの審神者さん
キタ――


20扇の鶴
俺みたいなのが来て驚いたか!

というわけで、前スレ後半にいた鶴だが、主の供でトーナメント会場にいる。
まだ時間があるから、主と待ち合い室なう。

〉16
件の審神者は夜伽による神気取り込みによって、己の力が強化されると考えたらしい。現世で言うところの覚せい剤の代替物ということだな。
まぁ、神気は個人差でさまざまな効果をもたらすことがあるので、能力強化もできなくはない。ただ、もののふとしては、正々堂々と戦ってこその誉だと思うが。


21 ななしの審神者さん
同意。

主の様子はどう?


22 ななしの審神者さん
今日も無手で戦うの?


23 ななしの審神者さん
昨日なにがあったのか、スレにいなかった俺にkwsk


24 ななしの審神者さん
〉前スレ嫁


25 ななしの審神者さん
〉24
まぁいいじゃねぇか。


〉23
扇の鶴の主はトーナメント出場者なんだが、昨日の予選で当たった相手がクソだった。
会場の人気のない廊下に短刀を連れ込んでセクハラ。偶然、通りかかった扇の鶴と主が嫌がる声を聞いて駆けつけ、止める。
ところが、相手、自分の刀剣なんだから何しようが勝手だと主張。政府職員が駆けつけて、その場は解散。
扇の鶴の主は激怒。
相手が戦闘に自信があるってんなら、戦闘で鼻っ柱へし折ってやんよ!
で、昨日、扇だけで圧勝←イマココ!


26 ななしの審神者さん
すごかったよなー。

ひらひらって軽く相手の攻撃避けてたかと思ったら、薙刀かいくぐって飛び込んで、扇の一撃だもんな。


26 ななしの審神者さん
ってか、扇でうち据えただけで、あんなにダメージ受ける?

扇の鶴の主、怪力?


27 ななしの審神者さん
〉素人乙
上手く霊力コントロールすりゃ、軽く叩く程度でけっこうなダメージ与えられる。
そもそも霊力コントロール自体が難しいけどな。
人間の霊力って、実は五行陰陽の五つの要素が混じってる。五行相生と五行相克って、聞いたことあるか?
人間の霊力は五つの要素が混じってるから、互いに高め合ったり、相殺したりしてるんだ。この五つの要素を同時にコントロールするのが難しい。
人によって要素との相性あるしな。


28 ななしの審神者さん
要素??
五行??

素人に分かるようにkwsk


29 ななしの審神者さん
えー。
改めて説明しろって言われると、難しいな。


30 ななしの審神者さん
ググれと言いたいが……。ネットにほいほい落ちてる情報でもないよな。
審神者テキスト読めとしか。


31扇の鶴
じゃ、主の呼び出し待ちで暇な俺が説明するぜ!


32 ななしの審神者さん
mjk

付喪神といえば、専門家中の専門家じゃねーか。


33 ななしの審神者さん
分霊とはいえ、マジもんの神様の解説(バッ


34 ななしの審神者さん
これは……全裸で正座待機せざるをえない(バッ


35 ななしの審神者さん
最初から脱いでいる俺に死角はなかったぜ。


36扇の鶴
ここは脱ぐところか……?
まさか五行の説明で脱がれるとは、この世は驚きに満ちているな!

書きためないから、ゆっくりになる。スピード落としてくれ。

五行には水、金、地、火、木の五つの要素がある。一人の人間は、比重は異なるがすべての要素を身に宿しているんだ。
上にも出ているが、要素の中には高め合うもの、相殺しあうものがある。例を上げれば、前者は火と木、後者は火と水だ。
霊力を高めたり、コントロールするには、要素が片寄っていればいるほどやりやすい。主要なひとつの要素だけ、操ればいいからな。
うちの主の場合は、霊力の中で火の要素が極端に強い。


37 ななしの審神者さん
wktk


38 ななしの審神者さん
要素ごとの特徴!
特徴をkwsk


39 ななしの審神者さん
ワッフルワッフル


40扇の鶴
書けたー。

ってことで、書きやすかったから、火の性質行くぜ。

火の性が強い審神者は、鍛刀と刀解を得意とする。これはもちろん、炉の神である香具槌命――俺たちの父神と相性がいいからだな。
火性が強いとオーラが強かったりする。地味なはずなのに目立つ奴とかは、火の性のせいかもな。
性格的には、直感的な行動に出やすい。これは考えなしという意味じゃないぞ。まず無意識で思考が終了して、意識の領域に思考が降りてくる前に行動してる感じだ。また無意識に通じやすいという部分から、シャーマン的な性質が強い。神に問いを投げかけて、答えをもらう的な。鍛刀もこの一種だな。

うちの主は元嫁の刀剣男士が折れていて、今は俺と恋仲だ。あるとき、「元嫁と俺と、同時に破壊されそうならどっちを助ける?」と聞いてみたことがある。
そしたら、「ぱっと見より危なそうな方を助けて、もう一方が折れるときに一緒に死ぬ」と言っていた。

火の性が強いとこういう感じな。
号持ち審神者で鍛刀師って鍛刀専門の審神者がいるらしいけど、
そいつはたぶん火性が強いんだろう。


41 ななしの審神者さん
元嫁が刀剣男士で鶴丸と恋仲って……扇審神者じゃねーか。


42 ななしの審神者さん
なんだ?

別スレのコテハンか?


43 ななしの審神者さん
〉42五年くらい前にユイノウカッコカリスレで相談してた審神者な。

扇審神者本人は、以来、さにちゃんに書き込んでない。少なくともコテハンとしては。
ただ、経歴が壮絶なのと、近侍の鶴や後輩がたまにスレ立てするので、けっこう知られている。

本人のレスはこのへんつユイノウカッコカリについて語るスレpart36
後輩のスレはこれつうちの三日月の趣味が読書だった話する


44 ななしの審神者さん
後輩や近侍の立てたスレで、にじみでる近侍との仲睦まじさ。
あれ、本人は後輩と近侍にお口ミッフィー(・×・)したいだろうな。


45扇の鶴


46 ななしの審神者さん
ん?


47 ななしの審神者さん
なんだ?誤送信か?


48 ななしの審神者さん
何かあったのか?


49 ななしの審神者さん
扇の鶴ー!


50扇の鶴
50ゲト
今あったことをありのままに話すぜ。

主が暇だからって、一緒にさにちゃん見てたんだが、〉44のとこ読んで、俺の名を呼んだ。
主「国永」
俺「ん?」(主の方を見る)主「お前、お口ミッフィー(・×・)な」
(両手の人差し指で×を作って、俺の口に押し付ける)

……俺の主がこんなにもかわいい。


51 ななしの審神者さん


52 ななしの審神者さん


53 ななしの審神者さん
鶴まぢで主のこと大好きなのな。

〉44で、にじみでる仲睦まじさって何ぞと思ったが……これのことか。


54 ななしの審神者さん
tk扇の鶴、結局お口ミッフィー(・×・)できてないじゃねぇか。

いいぞ。もっとやれ┐


55 ななしの審神者さん
リア充爆発しろ!


56 通りすがりの刀剣
このやりとり、見かけたぞ。
うちの大将もトーナメントに出るってんで、一緒に控え室にいるんだが。
なんかきゃっきゃとしてる奴らがいるなと思ったら、〉50がまんまで吹いた。

あんたら、場所考えろよなー。いざ戦いってんで意気込んでた周りの参加者がなごんでんじゃねーか。


57 ななしの審神者さん
目撃者か?
kwsk!


58 ななしの審神者さん
そうだ!詳細はよ!


59 ななしの審神者さん
詳細くれ┐


60 通りすがりの刀剣
言われると思って、書きためといた俺に死角はなかったぜ。

〉50のあと

鶴の旦那「」(顔が真っ赤)
主さん「あれ?おーい、国永!どうした?」
鶴の旦那「……さっきのは反則だろ」(赤い顔で目そらし)
主さん「反則って……?ていうか、その反応は何だよ。大の男にお口ミッフィー(・×・)とかされても、気持ち悪いだけだろ。嫌がらせのつもり、だったんだぞ……」
鶴の旦那「そうは思わないから、反則なんだ」
主さん「奇特なやつ。お前は変わってるよ。個体差かな」
鶴の旦那「違う」(主さんに顔を寄せて、小声で)「君が好きだからだ」
主さん「……ほんと、奇特なやつだな」
主さんはちょっと赤い顔で笑ってた。苦笑の表情だけど、眼差しがすごく柔らかかったな。


ちな、小声の部分はまじで小声。たぶん、近くにいた刀剣男士しか聞こえなかっただろう。主さんの近さならまだしも、他の人間には聞こえないくらいだ。


61 ななしの審神者さん
(・∀・)ニヤニヤ


62 ななしの審神者さん
(・∀・)ニヤニヤ


63 ななしの審神者さん
(・∀・)ニヤニヤ


64 ななしの審神者さん
┌(┌^o^)┐ツルマル……スレデミセルイジョウニベタボレダナ


65 ななしの審神者さん
┌(┌^o^)┐〉64ソレナ……


66 扇の鶴
そういうお前らだって、うちの刀剣かわいいスレとかで絶叫してるんだろ!
付喪神しってる。


主から流れを変えろと主命を受けたので、説明の続きを投下する。
木の性な。
木の性が強いと、刀装づくりが上手い。号持ち審神者の刀装師ってのは、このタイプだろうな。
木性はそのままでものびやかに成長や発展していう性質がある。性格的には穏やかでのびやか。自然体で癒し系。ほわほわしてるが、木性の者は思いやりがあるし、理性優先で思考してる感がある。ほわほわしてるので、それを感じさせはしないが。いざというときはしっかり者だな。
あと、派手じゃないが、こいつの傍にいるとなんか落ち着くってオーラの持ち主が多い。浄化体質が多くて、瘴気の中にいると自然とそれを浄化してくれてたりもする。
ちなみに、主の後輩は木性がすごく強い。


次、水性。
水の性は火と相克になるんで、この性が強すぎると極端な話、鍛刀は確実に失敗する。ただ、水ってのは無意識や集合意識に通じてるんで、霊的なものを呼び込む力はかなり強い。
結果、やたらドロップが多くなる。あと、霊道的なものを作るのも上手いんで、刀解も上手いはず(審神者連中はやりたがらない傾向のようだが)。
性格的には優しいというのかな。同情的で自己犠牲的な性質。でも、本人はそれを自己犠牲と認識していない場合が多いかな。水属性も意識より無意識で思考して、そのまま行動する部分がある。自己犠牲的な行動をして、後で指摘されても本人は「なんとなくそうした方がいいと思ったから」みたいな。
いちばん巫女的な性質が強いのが、水性の人間だな。火性の人間が問いを投げかけて答えを返してもらうのに対して、水性はとにかく託宣をもらってる感じがある。だから、どういう内容の託宣か本人は選べないわけだ。

下あけて。


67 扇の鶴
ありがと。

次、金の性。
金性は他の性と少し性質が異なる。
金属というのは、熱や電流を通すだろう? 金性の霊力はそれに似ている。例が難しいが、審神者は本丸と霊力を繋げているだろう。金性の人間は本丸と繋がった霊力の糸で、本丸の状態やどこに刀剣がいるかというのを感じ取れるらしい。あと、相模国や備前国など、本丸を置いてある霊的サーバーのネットワークに意識を潜らせることも可能だ。
金性のオーラはだいたい、キラキラしてて軽やかだから、すぐ分かる。
性格的にはやっぱり軽い。いわゆるチャラ男とかじゃなくて、うつし世に肉体があると思えない無邪気さだな。精神も思考も自由。金性が論理や思考に通じるんで、論理的に可能ならかなりぶっとんだ思考もありって傾向がある。

号持ち審神者で本丸サーバーネットワークに関わってる人間に、この金の性が強い奴がいるな。


最後、地の性。
地性は穢れや神気への耐性が高い。大地と同じで何ものにも染まらず、堅固にそこにあるって感じだ。水の性も浄化能力はあるが、洗い流すという感じで短い期間での浄化を得意とする。一方、地の性はゆっくりと大地に還していくかのような長い期間での浄化だ。
浄化といえば早い方がいいと思うかもしれない。だが、清すぎる水に魚が棲みかねるという戯れ歌が寛永の頃に詠まれたのと同じように、穢れに馴れた者に急激な浄化は毒になりかねない。地の性の者はそういう場合に最適だ。
性格は寡黙で朴訥という感じになるな。沈思黙考型でじっくり考えてから行動する。黙ってるから分かりにくいが、説明されれば論理的で理解しやすいのは地の性や金の性の思考だろうな。
他の属性はだいたい感覚で動きすぎるwww


68 ななしの審神者さん
なるほど。勉強になるφ(゚д゚)メモメモメモ


69 ななしの審神者さん
審神者適正調べた後、
「地の性強いからブラ本引き継ぎしてね☆」って言われたのは
そういう理由か。理解した。


70 ななしの審神者さん
え? ブラック引き継ぎとか大丈夫か?>69


71 ななしの審神者さん
>69mjk


72 ななしの審神者さん
ブラック政府らめぇ


73 69
あ、心配かけてごめん。普通に大丈夫だった。
ブラック本丸っつても、殺されかけたりとか全然ナシ。
刀剣たちも最初はちょっと距離があったけど、割と冷静に接してくれた。

……ただ、穢れがけっこう溜まっててな。
穢れが悪霊だのなんだのを呼んで、大変だったんだ。
いちばん困ったのは厠に女の幽霊が出たことだな。


74 扇の鶴
……それが一番の困りごとなのか?


75 ななしの審神者さん
もっとこう……ブラック本丸らしい何かが……。


76  69
いや、まじで幽霊とかに困ったんだって。
ポルターガイストうるさくて眠れねぇし、筆やら手入れ用のぽんぽんやらは
霊の悪戯なのかしょっちゅう場所が変わるしさ。

で、最悪なのはさっき書いた女の幽霊。
審神者が男だと、本丸って基本、男所帯じゃん?
みんな女に免疫ないじゃん?
厠に出た女の幽霊がさ、……その、アレを見て言うわけよ。
『まぁ、なかなかの太刀だこと』
『かわいらしい短刀ね!』その他いろいろ。
おかげで俺と一部の刀剣の心は重傷です!

必死に資材集めて、石切丸を鍛刀して、祓ってもらったよね!


77 ななしの審神者さん


78 ななしの審神者さん


79 ななしの審神者さん


80 ななしの審神者さん
>69 なんというか……それは乙。


81 ななしの審神者さん
乙すぐる。
っていうか、その幽霊、にっかりみたいだな。


82 ななしの審神者さん
すごく大きいね……あ、馬の話だよ?
Byあおえ


83 ななしの審神者さん
やめろ、一緒に見てる青江がしょんぼり青江になるから、やめろ。


84 ななしの審神者さん
しょんぼり青江www


85 ななしの審神者さん
本日の下ネタMVPは>69に贈るとして、
そろそろ流れに戻ろうぜ!

試合開始時刻が近づいてきたな。
そろそろ、出場者の呼び出し始まるんじゃないか。

86 ななしの審神者さん
wktk


87 ななしの審神者さん
wktk


88 扇の鶴



89 ななしの審神者さん
お?


90 ななしの審神者さん
これは……


91 ななしの審神者さん
もしや


92 扇の鶴
主が呼ばれているようだ。
が、事情があって審神者名をほとんど使ってないんで、気付いてないな。
昨日も呼び出しのとき、反応するの忘れてたんだよなー。

ちょっと行ってくる。


93 ななしの審神者さん
あー審神者名な。
俺ら審神者名って呼んでるけど、あれ、実際には本丸についてる識別名称だからなぁ。


94 ななしの審神者さん
扇審神者は本丸失くしてるんだっけ。
俺らは演練とかで使うけど、本丸ない奴は使う機会ないよなぁ。


95 ななしの審神者さん
にしても鶴、甲斐甲斐しいな。個体差か?


96 ななしの審神者さん┐
愛の力だ。間違いない(・∀・)ニヤニヤ


97 ななしの審神者さん
>96足出てるぞ!


98 ななしの審神者さん
wktk


99 ななしの審神者さん
扇審神者って審神者名なんだっけ?


100 ななしの審神者さん
100ゲト

昨日、〈千古(ちふる)〉って呼ばれてたよ。


(以下、トーナメントの話題が続く)




トーナメント当日第一戦開始前



「〈千古〉どの!」
 不意に国永の主の審神者名が呼ばれた。今では“六条の君”という号の方を主に使っている主だが、審神者として現役の頃には審神者名を名乗っていたものだ。
 本丸名――通称・審神者名は、普通、世代ごとに同じ一字を含めてつける。主たち第一世代の審神者の本丸は、千年先の未来の平安をも守れるようにと“千”の字を共有していた。もっとも、“千”の字を有する審神者の中でいまだに生きている者は、ごくわずかだが。審神者は世代を重ねており、こと細かに各世代の本丸名を記憶している者もあるまい。それこそ、政府の記録でも調べない限りは。
「〈千古〉どの、〈千古〉どのはいらっしゃいますか?」
 誰だろう、という顔をした主に、国永は「呼ばれているぞ」と教えてやる。主はようやく自分の審神者名が連呼されていることに気づいたようだった。愛刀の打刀を手に、「行ってくる」と立ち上がる。
 それを見て国永は慌てた。
「待て、君。その刀はまずいだろう」
 主の打刀は、かつての本丸で折れた四十一振の加護を宿している。その影響か刃紋が常にうつろい、まるで妖刀のような風情だ。
 交流のある号持ち審神者たちは今さら、妖刀くらいで驚いたりはしない。いずれも人の身で修羅場をくぐり抜けてきた猛者ばかり。しかし、一般の審神者はそうではない。妖刀のごとき刀を見せれば、怯える者もあるだろう。それでは、尋常の勝負になるはずがなかった。
 すぐに主も国永の言わんとしていることに気づいたらしかった。そうだった、と困ったように眉尻を下げる。
「刀の予備とか持ってないんだよな」
 借りるか……と言い出す主に、国永はため息をついた。恨みを込めた目で、ジトリと見上げる。
「主よ。確認するが、君と俺は恋仲だな?」
「え? いきなり何を……」
「恋仲だな? 君は何度か恋文をくれたのだから、異論は認めない」
「や、別に異論は……ない、よ」主は戸惑いながら答える。
「認識が一致しているようで、何よりだ。……ところで、恋仲ならば、なぜ君は俺を頼ってはくれぬ?」
「は?」
 目を丸くする主に、国永はズイと自分の本体を押しつけた。
「俺を遣え。……君の愛刀が加州清光だとしても、護身刀はこの俺だ。君がいつもの打刀を遣わないなら、この俺を振るうべきだ」
「でも……。――いや、ありがとう、国永。大切に遣う」
 主は国永に打刀を託して、控え室を出ていった。主の打刀と端末を手に、国永も移動する。
 会場は演練場をそのまま利用している。いわゆる闘技場(コロセウム)方式というのだろうか。観客席がすり鉢状に取り巻く底に、トーナメントの舞台があった。
 間もなく、主と対戦相手が姿を現す。今日の本戦の模様は、本丸サーバーネッワークを通じて、すべての本丸や万屋周辺施設で放送される。そのため、出場者の多くはそれぞれに面をつけたり、サングラスを掛けたりして、素顔を隠していた。事情はさまざまだ。神職系の審神者は、神に支配されることを避けるために普段から顔を隠している。また、本丸の刀剣たちと折り合いの悪い者は、トーナメント出場に難癖をつけられたくないという。或いは、他の審神者と確執のある者や、特別な仕事のために顔を知られたくないという者もあった。国永の主も、鍛刀師として本丸を渡り歩く中で、俗にいうブラック本丸の摘発という任も負っている。顔を知られるのは、デメリットが多い。
 会場に出てきた主は、能の女面――増髪をつけていた。対戦相手はといえば、仮面舞踏会に用いられそうな仮面で、顔の上半分を覆っている。しかし、小柄な体格や袴姿でもなお分かる丸みを帯びた身体の線で、女ということは明らかだった。それも、魂の瑞々しさを視るに二十そこそこといったところか。手にしているのは、付喪神の宿らない脇差だった。
 さて、相手はどれほどのものか。
 国永はそう思いながら、再び端末を開いた。






つづく。

pixiv投下2015/08/01

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